地球温暖化と肥満・2型糖尿病
2006年9月にシドニーで開催された第10回国際肥満学会で会長のジメット教授は「肥満と2型糖尿病は、地球温暖化や鳥インフルエンザに劣らぬ重大な脅威である」と述べている。
一昨年、私は親しい大学教授に「インドに修業に行って来ます」とメールして、ひとり旅立った。2日目ジャイプールでシャワーを浴びている時、滑って背中から転倒し、左鎖骨を2カ所骨折してしまった。
土ほこりのあがるレントゲン室で撮影し、医師からは「予防接種はしてこなかったのか?もう少しで脊椎損傷から下半身不随になる危ないところだった」と言われた。
日本に無事帰れたら、思い残すことがないよう生きようと思った。
それでも固定バンドをして、痛みに耐えて旅をつづけた。ジャイプールからアグラへは6時間かかり、でこぼこ道で小さな車が揺れるたびに左腕がうずき、アグラに着く頃には左肩から腕がもげるような感じがした。
観光旅行ではなく、まさに苦行の旅となった。仏陀も2500年前、高齢をおして苦行の旅をしたのであろう。
インドでは街全体が土埃で覆われている。牛も市街地で一緒に生活している。人も動物も街も土と一体化している。人が死ねば土になるということを実感する。
貧富の差が大きく、日本とは比べものにならないくらいの格差社会である。それでも、そんなに不幸そうな顔をしている人は少ない。
インドでは車は土埃をかぶっている。現地のガイドさんに聞くと「インドでは車は洗わない。車を洗うと汚れた水が、聖なる河に流れ込むからだ」という。
田舎に舗装道路は少なくてよい。田畑を耕し、生産性が低ければ、国が補助金を出せばよい。「田舎は国の命の源だ」
食物を確保するため、アマゾンでは毎年四国ぐらいの面積の熱帯雨林が減少しているという。一方で、飽食により世界的に肥満・2型糖尿病は増えている。
人類はなんと愚かな営みを行っているのだろう。