やせ薬 と 肥満
日本で認可されている食欲抑制剤はマジンドール(サノレックス)のみで、保険適応があるがBMI35以上の人で3ヶ月間しか使用できないという厳しい制限が付いている。
平成13年11月1日40歳代の女性が意識混濁、黄疸、全身倦怠感で入院してきた。GOT472、GPT441、総ビリルビン15.4mg/dlと上昇。肝臓は萎縮し、肝機能が低下している劇症肝炎だ。
その患者さんは、やせ薬「千之素こう嚢」を服用していた。それ以前の平成13年7月23日に黄疸で入院してきた60歳代の女性も同じものを服用していた。その女性もGOT1330、GPT2095、ビリルビン6.4mg/dlと重症肝炎だった。
2人とも同じやせ薬「千之素こう嚢」を服用していた。どんな組織がバックにあるかもしれない。「先生、公表すれば命を狙われるかもしれません」研修医と女医さんが脅えた顔で心配する。
「50万円も出せば人を危める人間はいるらしい。でもこれは放置できない問題でしょう」朝川秀樹内科部長が言った。「放っておけば大変な犠牲者が出ますよ」福井威志内科医長がつづいた。
平成13年11月13日、厚生労働省医薬安全局麻薬対策課に連絡し報告書を出した。翌14年5月慶応大学病院で60歳代女性の死者が出た。7月12日「ダイエットに潜む危険」と題する記事が新聞の一面トップに出て大騒ぎとなり、全国に被害が拡大した。
福生病院の中谷矩章院長らが分析され、食欲抑制剤フェンフルラミンが含まれていた。フェンフルラミンは薬事法で禁止されており、中国の業者が薬剤として検出されないよう亜硝酸を加えたため、発癌性の強いN-ニトロソ化合物ができていたことがわかった。
平成17年8月29日第3回日本肥満学会の肥満症サマーセミナーで佐藤祐造愛知学院大学教授が「怪しげなやせ薬は毒である。漢方薬と区別しなくてはならない」と断言された。本当にそうだ。東洋医学を真剣に行っている人達の妨げになる。
何十億円、何百億円のお金が動く食品業界では、健康食品の効果が全くない、あるいは害があると公表されると死活問題となる。公的研究所の先生は「健康食品について公表する時には、どんないやがらせが来るかもしれない。命を狙われることも覚悟して公表している」と言われた。
日本には命が狙われていることを覚悟して、国民を守ろうとしている医師達がいる。