自動車依存社会とメタボリックシンドロームPart2
メタボリックシンドローム増加の要因の半分は運動不足にあり、自動車依存社会が大きく関連する。自動車産業がメタボリックシンドローム対策に乗り出そうとしている。
2007年4月4日リーガロイヤルホテルで大阪大学内分泌・代謝内科同窓会(下村伊一郎会長)が開かれた。代謝(糖尿病、高脂血症、肥満)はメタボリックシンドロームの中心をなしている。
大阪大学の内科は臓器別再編成で第1内科、第2内科、第3内科、老年科、検査科の5つの内分泌・代謝部門が一つに統合された。内分泌・代謝専門家集団は、日本一を通り越して世界一規模が大きいものとなった。
各内科教室はそれぞれ伝統があり、世界的な業績を持っている。同窓会員には日本糖尿病学会理事が4人と日本肥満学会理事長、日本動脈硬化学会理事もいる。
「各旧内科は考え方も違えば、手法も異なる。研究は競争だ。それぞれの長所を生かして競えばよい。ただ組織を上げて取り組める共通の目標も持って欲しい。国民の健康に貢献するため、メタボリックシンドロームを減少させるという目標を持ってくれたら」と私は夢想する。
「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。ゆえに夢なき者には成功なし」は明治維新で思想的指導者だった吉田松陰の有名な言葉だ。
吉田松陰は温然たること婦人のごとき人柄だったが、国事の話になると眼光は爛々と輝き、頬は紅潮し、全身より気力を発したという。
日本で納税額が最も多いのは自動車産業、電機産業、機械産業、医薬品産業の4つだ。これら4大産業による税収が、我が国の医療・福祉に間接的に寄与している。
多くの企業は利に走る。ヨーロッパの自動車産業はメタボリックシンドローム対策にサイクリング道路など作ることで協力している。自動車を作っている会社が自転車も作っていることが多く、自転車が売れれば利益もでる。
しかし、日本では自動車と自転車を作っている会社が異なる。自転車道路や遊歩道を整備することは自動車産業の利益に直接結びつかない。世界一の自動車会社は利益のみにとらわれず、国民の健康に貢献しようとしている。さすが企業としての品格がある。
自動車産業と医学会、行政が協力すればメタボリックシンドローム対策は進展する。