たばこ税依存社会とメタボリックシンドローム
2008年4月より内臓脂肪型肥満の概念を導入した「特定健診・保健指導」が始まる。医師、保健師、管理栄養士は栄養・運動指導とともに禁煙指導に取り組まなくてはならない。
「ふるさと納税制度」を菅義偉総務相が提唱している。都市部に住む人が、故郷のために個人住民税の一定割合を出身地などに納める仕組みで、都会で活躍している人達にとって育ててくれた地域への恩返しになる。アイデアとしては面白いが、どれだけ成果があがるかわからない。
地方自治体の医療・福祉はタバコからの税収に大きく依存している。タバコを止めさせることは簡単だ。売らなければよい。しかし、喫煙は健康に悪いというデメリットの面とともに、税収が上がるというメリットがある。
煙草販売を中止したとしよう。平成16年度のたばこ税額は2兆2992億円(うち地方税1兆1506億円)だ。1人年間1万8000円の減収となるとすると、4人家族では1軒7万2千円の税負担増となる。市民は「煙草販売撤廃か、7万円の増税か」と迫られたら、どちらを取るのだろう。
煙草1本当たりにかかる税金を、外国なみにすれば税収は上がる。たばこ税は一括して集め、各市町村の面積に比例して分ければよい。面積なら基準が明確で、地域間の格差の是正にもなる。
ガソリン税の一部も、市町村の面積に比例して配分すれば、高齢者も老後を過疎地で暮らしやすくなり、安倍晋三総理の「美しい国、日本」に貢献するだろう。
財源を考えないまま、保健師さんが熱心に禁煙指導を行い、禁煙者が増えれば自治体の税収は減る。「矢は前から飛んでくるとは限らない。後ろから飛んでくることもある。」禁煙指導に熱心な保健師さんに、保健師さんを雇用している市町村からブレーキがかかるかもしれない。
自治体病院は、救急医療など不採算部門をかかえている。自治体病院の経営はぎりぎりで、補助金がなければ成り立たない所が多い。禁煙に成功した自治体はタバコ税収が減少し、自治体病院は補助金が減って救急医療ができなくなる、という皮肉な結果になる可能性がある。
厚生労働省が本気で禁煙を考えるなら「たばこ税について財務省や総務省とよく相談するとよい。たばこ税を一括して徴収し各市町村の面積に比例して配分するなど、禁煙運動に頑張った自治体が不利にならない税制を構築すること」を私は提言する。