たばこ税依存社会その2
メタボリック教室の第45段で「たばこ税依存社会」を取りあげた。自治体病院の職員にとって、自分で自分の首をしめるような禁煙指導を本気で行うことができるのか、という素朴な疑問から執筆した。
友人は「厚生労働省がいくら禁煙、禁煙と言っても効果は少ない。財務省とたばこ生産農家が反対しているからだ」と言う。平成16年度のたばこ税は2兆2992億円、たばこ産業は1兆3445億円である。財務省はたばこ税が減らないような仕組みを作っている。喫煙者が減ると生産者である農家が大打撃を受ける。
私には喫煙者を激減させる1つの案がある。それは1箱300円のたばこを1箱1000円に値上げすることだ。医療経済研究機構が全国20歳以上の喫煙習慣のある男女2105人を調査し、たばこ1箱1000円にすると63.1%の人が喫煙を止めると報告している。
1箱1000円にすると喫煙者が3分の1になっても、1箱当たりの税収は3倍以上になり税収は増える。農家からの買い付け価格1881円/kgを3倍にすれば、農家の収入も増える。喫煙を止めた人は健康になる。受動喫煙も減少する。喫煙者が減ると医療費の削減になり、厚生労働省は喜ぶ。ただ、損をするのは1箱1000円になっても、タバコを吸い続ける人達だけだ。
2007年5月18日の朝刊に、自民議連の「地方共同税」構想が載っている。税収格差を是正するため法人2税(法人事業税、法人住民税)を一括してとりまとめ、各自治体に配分する。人口と面積をもとに、各都道府県に配分するとしている。仮に、人口と面積を50%ずつと算定した基準で、地方共同税を導入した場合の試算も出している。実現すれば、税収格差解消の抜本的対策になる可能性がある。
第45段でたばこ税を全国一括して集め、市町村の面積当たりで配分すると提言したが、最初は市町村の人口当たりで配分を考えていた。市町村の面積当たりとしたのは、私の故郷庄原市が広島県で1番面積が広く、過疎で荒廃してきていることから発想をした。
これ以上、日本の森と水を守る地方を、荒廃させてはならない。自民議連は私よりずっと早く、面積当たりで配分する発想をしていたのだろう。自民党にも智慧者がいると知り安心した。大きすぎる格差は健全な社会ではない。
5月23日から4日間、杜の都仙台で開催される第50回日本糖尿病学会に出席する。メタボリックシンドローム対策で喫煙者が減っても、たばこの生産地である東北の農家が困らないような施策が望まれる。