歌人ゆかりの街とメタボリックシンドロームその2

2007年6月28日
 2007年6月23日メタボリックシンドローム講演の後、松本市のホテルビエナビスタで立食懇親会があった。

 百瀬篤先生は「長野県でも車の普及で運動不足となり、30~40歳代の糖尿病が増加している。糖尿病の食事療法で1番難しいのは夕食だ」と言われる。積極的支援を行っている保健師さんも夕食の行動変容が難しい。10~11時まで仕事をして帰宅後食事をする男性に、6~7時に弁当を食べるよう指導したところ「1人で弁当を食べることができる職場環境ではない」と言われたそうだ。本人は必要を感じても、社会や企業が変わらないと行動を変化させることは難しい。

 「食事はただ食べるだけではなく、その日のストレスを解消する働きもあるので、遅くなっても帰宅してから食事をした方がよい。タバコも吸わないと逆にストレスが溜まって血圧が高くなる人がいる」と言われる先生もおられた。

 「現代の中高年男性は厳しい仕事が増加し、連日残業で苦労が多い。その上、保健指導を強く指導しすぎると、ストレスが更に加わり、うつ病になる人が急増するのでは」と何人かの方が危惧されていた。心の健康も考慮しないといけない。

 国宝松本城の三の丸濠跡に建てられている割烹松本館に行った。長野県では蜂の幼虫を生食、塩焼き、炒めものや炊き込みごはんにして食べるという。ハチの幼虫とイナゴの佃煮を肴に、安曇野産美山錦と美ヶ原の名水を用いた地酒を飲んだ。

 松本館では丁度、高円宮妃殿下が御食事をされていた。高円宮憲仁親王は昭和天皇の甥で、2002年11月21日カナダ大使館でスカッシュ練習中に心室細動で急逝されている。その後、心室細動に対する対応が検討され、2004年にAED(自動体外式除細動器)の使用が一般人に認められている。

 松本館内の文化財の八角堂手洗いの前には、黒い服を着たSPが立っていた。帰り際、高円宮妃殿下が食事をなされた国の有形登録文化財「鳳凰の間」を見学した。大広間には絢爛豪華な108枚の天井画「百花百鳥」、太田南海の彫刻、障子腰には金子嶺挙の絵画がある。この広間は、メタボリック教室第40段に記した西本願寺書院のような歴史を感じさせる風格があった。

 夜ニュースを見ると、花いっぱい運動の発祥地松本で第6回世界大会が開催され、高円宮妃久子さまが「自然と接することが少なくなった現代、花いっぱいで心の健康づくりをしましょう」と開会の辞を述べられていた。メタボリックシンドローム対策では「からだの健康」とともに「こころの健康」も重要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

著作権について