はだしのゲンとメタボリックシンドローム

2007年8月15日
 2007年8月10日、偶然テレビの「はだしのゲン」を見始め、中井貴一の熱演もあって11日の放送も最後まで観てしまった。フィクションとあったが、ノンフィクションに近い。

 私が小学生の頃、夏になると父は蚊帳(かや)の中で、昭和20年8月6日広島に原爆が落ちた時のことを話してくれた。父(旧姓甲元久人)は広島師範学校を卒業し、庄原小学校(国民学校)の教員をしていた。

 JR備後庄原駅に広島から満員の列車が着くたびに、上半身裸の軍人さんが降りてきた。朝の体操をしていた時被爆したため、軍人は上半身裸だったという。顔は人相がわからなくなるまで腫れあがって目は細くなり、腰に縄をまいていたという。
 陸軍広島病院は疎開のため、庄原日赤病院が陸軍病院分院を併設し、その隣に庄原国民学校があった。400人の被爆軍人が庄原に収容され、他の軍人は松江に向かったという。目が見えなくなった軍人さんは前の軍人さんの縄を手に握りしめ、駅から1km離れた庄原国民学校まで歩いて行った。
 国民学校の教室にむしろや毛布をひいて寝かせ、悪臭の中で手当をした。教室は足の踏み場もないほど被爆軍人で一杯になったという。何日か経つと傷口にウジがわき、4~5日で100人が息を引き取ったそうだ。校舎の横に穴を掘り、遺体を埋めたという。失明した目から涙を流しながら「お母さんはどこですか」と小声で何度か繰り返し、息を引き取った軍人もいたという。
 
 1983年、国際肥満雑誌に採用された「CTスキャンによる脂肪組織の分析法」は世界各国の研究者から別刷り請求の手紙や葉書が来た。北米(米国、カナダ、メキシコ)、南米(アルゼンチン、ウルグアイ)、西欧(英国、独国、仏国、オランダ、ベルギー、スペイン)、北欧(フィンランド)、東欧(ポーランド、ハンガリー、オーストリア、チェコスロバキア、ブルガリア、ルーマニア)、アフリカ(南アフリカ、ケニア、カメルーン)、イスラエル、インドなどからだった。東アジア(中国、韓国、日本)にはそのような習慣がない。

 別刷り請求は読んでいるぞという、著者への応援メッセージでもある。単に別刷りだけ送っては味気なく、エアメール代がもったいない。日本の伝統文化を伝えようと、別刷りといっしょに「矢がすり模様などの千代紙で作った折り鶴」を同封して送った。広島県出身である私は千羽鶴から折り鶴を思いつき、妻と息子がツルを折った。
 妻と息子の折ったツルの思いは届いた。米国の研究者から「平和のツルを送って頂き有難う。ヒロシマ、ナガサキのような悲惨な原爆のない平和な世界になることを祈ります」という手紙が届いた。手紙には「crane(ツル)crane(ツル)」で始まる英語で書いた詩が入っていた。

 1983年、千の鶴にはならなかったが、数百羽の「折り鶴」が「CTスキャンによる内臓脂肪測定法」の論文とともに、世界に飛んで行った。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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