弱肉強食とメタボリックシンドローム

2007年8月23日
 2007年8月21日、大阪大学第2内科同窓会員、山縣和也先生の熊本大学病態生化学教授就任祝賀会が大阪のリーガロイヤルホテルで開催された。

 山縣君は学生時代に3週間、私が担当して第2内科の臨床実習を行った。寡黙で真面目な学生だった。ついこの前教えた気がする。「朝(あした)には紅顔の美少年、夕には白骨となる」。時の経つのはあっという間だ。

 山縣君はMODY(若年発症糖尿病)1型と3型の遺伝子異常を発見し、2007年5月の日本糖尿病学会賞(リリー賞)を受賞している。熊本大学では6~7人の小世帯になるという。私も留学中や大阪大学では6~7人で肥満研究をしたが、効率が一番良くチームワークも取れ楽しい時代だった。

 いくつかの大きな私立病院が経営危機に陥っているという。外資系が小さな私立病院もいっしょに買い取って、そこにいた医師を大きな私立病院に集めるらしい。カタカナの名前を付けた私立病院が増えていくのだろうか。

 リーガロイヤルホテルには、8月25日から始まる世界陸上の選手でいっぱいだった。せっかく世界のアスリートがいたのに、選手の名前も顔も知らなくて残念だった。

 2007年8月22日の朝刊1面に、「高度医療病院新設へー重症患者専念、医師を集約」の記事が載った。厚生労働省は21日、救急医療などを行う病院を再編し、高度な医療技術が必要な患者を専門的に治療するための「高度急性期病院」を新設することを公表した。

 人口30万人に1カ所程度設置する予定で、各都道府県にある国公立病院から移行する。勤務医不足で医師を各病院に分散すると高度医療が困難になるからだという。総論賛成だが各論で反対が出る。市民病院の合併も、院長・事務長レベルで合意しても市長レベルで潰されることが多い。市民病院が無くなった方の市長は、次の選挙で落選するからだ。国は市長と選挙民をどう説得するのだろうか。

 特定保健指導の勧誘パンフレットが来るようになった。大手企業が参入し、当初考えられていた保健指導の価格が下がってきている。こぢんまりと保健師や管理栄養士だけで行おうとしていた業者は、支払う時給を考えると採算が合わなくなり、参入をあきらめた所が多いようだ。

 「ホームレスの世界も弱肉強食だ。公園は縄張りがあって、新入りのホームレスが入り込むスペースはない。世渡りがうまくないとホームレスもやっていけない」と市役所の友人は言う。
 弱肉強食も必要だが、行き過ぎるのはよくない。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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