柔道とメタボリックシンドローム

2007年9月13日
 2007年9月10日に開催されたリオデジャネイロの国際柔道連盟総会(IJF)で、再選を目指した山下泰裕理事が落選した。

 アルジェリアのモハメド・メジャド氏に123対61の大差で破れ、1952年以来初めて日本人理事がいなくなった。近年IJF内部では、韓国の朴氏とオーストリアのビゼール氏が対立し、山下氏は朴氏を支える立場にいた。

 山下氏は2003年から理事となり、発展途上国への柔道着や畳の援助、マナー向上や正しい柔道着など「柔道の心、日本の心」を、世界に広めようとされていただけに残念だ。

 1984年のオリンピック時、ロサンゼルスにあるリトル東京のジャパニーズヴィリッジで山下選手を見かけたことがある。ロサンゼルスオリンピックでは柔道を観戦した。日本人が金メダルを取ったが、隣国の応援者の数は5倍以上多く、自国選手が勝っても負けても大騒ぎしていた。日本の応援は、試合中も金メダル獲得後も叱咤激励のみで、誉めたり喜んだりする様子はなく違和感を覚えた。

 2007年9月9日、高槻の城跡(しろあと)公園で太極拳を行った。毎月第2日曜日の午前10時30分城跡公園に太極拳仲間が集まっている。24名の中高年男女が参加した。楠と欅(ケヤキ)の木が交互に植えてあり、葉陰は涼しい。時々、小さな子供連れの家族が、こちらをチラリと見て通り過ぎていく。

 これから、学校教育でも柔道、剣道などの武道が取り入れられていく。柔道や空手など、戸外で行う武道は心地よく、メタボリックシンドローム対策にもよいだろう。9月9日は救急の日で、城跡公園に隣接する高槻現代劇場文化ホールでは「市民の健康フェア」が開催されていた。メタボリックシンドロームに対する市民の関心は高い。

 10数年前、柔道が強い大学の要職にある人と、会席料理を食べながら話をしたことがある。日本柔道界の国際的影響力低下を危惧されていたが、現実のものとなった。

 世界中にアンテナを張り巡らせて情報を集め、先手を打つことは側近の役目だ。日本はトップ選手や協賛企業など、強い力を持っている。力ずくでもIJOの理事に日本人を入れないと、日本へ情報が入らなくなり、日本の主張ができなくなる。

 柔道の創始者である嘉納治五郎は、「自他共栄」を柔道の精神として唱えている。日本の柔道が世界の潮流に乗り、再び国際的な発言力を持って、柔道の心を世界に伝えていくことを願う。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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