アディポネクチンとメタボリックシンドローム

2007年9月18日
 2007年9月15日大阪のリーガロイヤルNCBで、第6回中之島循環器・代謝フォーラム(山下静也代表世話人)が開催された。

 特別講演は下村伊一郎大阪大学内分泌・代謝内科学教授の「メタボリックシンドロームーアディポネクチンとFat ROS」だった。アディポネクチンは脂肪組織から分泌される物質で、動脈硬化や糖尿病を防ぐ作用があり、内臓脂肪の増加とともに減少する。

 Fat ROS(Fat Reactive Oxigen Species:脂肪組織由来酸化ストレス)産生上昇はアディポネクチン産生を低下させ、糖尿病、脂質異常症、高血圧、脂肪肝を引き起こすという。酸化ストレスは老化とも関連している。

 先週、国の要職にある人が体調を崩された。同窓会でお会いできることを楽しみにしていただけに残念だ。南カリフォルニア大学(南加大)は米国西部で最古の大学で、広大な敷地にある。ダスティン・ホフマンの映画「卒業」や、NHK大河ドラマ「2つの祖国」の舞台となり撮影された。

 私1人が使用していた研究室の広さは、日本で10人が使っていた研究室の4倍はあり、書斎やトイレまで付いていた。試験管は使い捨てで、目盛りの付いたガラスのメスピペットも洗って使うことはなく捨てていた。

 ロサンゼルスで見る日本のテレビは、米国のことを理解していないと感じた。1例を挙げると「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと報道していた。米国に住むと、日米の力の差は歴然としていることがわかる。もし日本が米国と戦えば、カリフォルニア一州に負けると駐在員仲間では話していた。国の要職にあった人も、広大な南加大のキャンパスの中で、日米の力の差を肌で感じ取っておられたことだろう。

 米国のメディアも日本の情報を、一部誇張して伝えていた。1985年4月帰国する時、ボスのブレイ教授から「大阪は今、街中が銃撃戦となっており危険なので、もう1年米国に残って研究をしたらどうか」と言われた。日本に帰国すると、連日のように発砲事件が報道されていたが、身の回りで発砲事件はなかった。

 世の中は何も悪いことをしていなくても、陥れられることがある。嫉み(そねみ;自分より優れている家系や才能をうらやむ)や妬み(ねたみ;他人の幸運をうらやむ)が世の中を動かせていることが多くある。

 国の要職にあった人は家系や容貌から嫉みを、若くして出世したことから妬みを受けていただろう。嫉妬に対しては精神的なタフさが必要である。腹を割って相談できる力のある人物が傍にいれば、局面は変わっていたかもしれない。ゆっくり静養され、健康を回復されることを願う。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

著作権について