テレビCMとメタボリックシンドローム

2008年1月10日
 2008年に入っても、相変わらず高カロリー食品のテレビCMがつづいている。高カロリー食品はメタボリックシンドロームの大きな要因だ。

 2007年11月9日、第12回日本食物繊維学会のシンポジウムで、前慈恵医科大学内科池田義雄教授が「女性や40歳以上の男性は健康に気を配った食生活をしている。しかし、40歳以下の若い男性はそれに反発して、メガ○○、超大盛り○○など高カロリーの食品を食べている。由々しき問題だ」と警告された。

 2007年6月、メタボリックシンドローム講演会の後「徳永先生、もっとファーストフードを取りあげて下さいよ。日本の食文化をダメにしたのはファーストフードです。マスコミは食品のコマーシャルをしているから何も言えない。今はインターネットがある。先生の影響力は大きいですよ」と言われた。

 私より影響力の大きい先生はたくさんおられるが、立場上発言できない人が多い。ファーストフードにもよい所と、悪いところがある。ファーストフードの味は万人好みで、世界中どこでも食べることができる。問題はカロリーが多いことだ。それを改善すればよい。

 1980年頃、私は大手広告代理店に週2回勤務していた。即席うどんのCMにジャニーズのあおい輝彦や川谷拓三が来ていた。当時、米国ではテレビCMによる肥満への影響が指摘されていた。米国のテレビによる食品コマーシャル収入は年間3000億円で、その内、チョコレートなどの高カロリー食品が70%を占め、わずか15%が低カロリー食品だった。

 大手飲料会社の社長さんが、東京からわざわざ高槻健管センターに来られ1時間30分、内臓脂肪と飲料について話をしたことがある。その会社は飲み物を1日4000万本販売、国民の3人に1人が飲用しており、社長は飲料が国民の健康に及ぼす影響を気にしておられた。最近、テレビで高カロリー飲料のCMを見ることは少なくなったが、高カロリー食品のCMはつづいている。

 マスコミは食品偽造など話題とするが、高カロリー食品については取りあげない。民間テレビや新聞は食品コマーシャルからの収入に依存しており、大きな制約があるからだろう。CM収入に左右されないNHKは「クローズアップ現代」などで、「メタボリックシンドロームにおけるファーストフード問題」を取りあげたらどうだろうか。

 私の力などテレビに比べたら、微々たるものだ。NHKの存在意義は、民間テレビではやれないテーマを放送できる所にある。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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