徳島の生活習慣と糖尿病

2008年2月21日
 2008年2月10日、大阪梅田から午後2時発徳島バス1A席で、結婚披露宴の主賓スピーチのためJR徳島駅に向かった。

 ホテルクレメント徳島1516号室の窓から見る、城山・吉野川の景色は素晴らしく、外はまだ明るい。午後4時50分、ホテルから歩いて15分で眉山ロープウェイ駅に着いた。乗り場の人が「このゴンドラの中で松嶋菜々子、大沢たかおの撮影が行われた」と説明された。

 徳島県の糖尿病による死亡率は全国平均の1.6倍で、13年連続全国1位となっている。糖尿病が長期間多いという結果には、必ず原因があるはずだ。県民の遺伝子に異常が多いとは思えないから、生活習慣に原因がありそうだ。

 午後5時30分山頂からの最終ロープウェイで降り、徳島の生活習慣を知ろうと街を散策した。阿波おどり会館から、映画「眉山」のロケ地(宮本信子の料理店があった鷹匠町・栄町)を通り、徳島駅前まで1時間歩いた。

 郷土料理店で「すだち酎、阿波尾鶏(おどり)ポン酢、阿波牛タタキ、鳴門わかめ寿司、鳴門金時バニラアイスクリーム添え」を注文した。鳴門わかめ寿司はすし飯をわかめで2重に巻いてあり、健康によさそうだ。鳴門金時をペースト状にしたものは、格別旨い。

 ホテルに帰る途中、菓子パンを買った。マーガリンと砂糖がたっぷり使ってある。需要があるから作っているのだろう。徳島県の人は、気付いていないのかもしれない。「徳島県のある町は糖尿病の頻度が3倍多く、その町では間食の回数と間食1回当たりの量が多い」という報告がある。

 2月11日の結婚披露宴では、徳島大学の教授が隣の席に座られた。「徳島県で糖尿病が多いのは、自動車を使う人が多いからではないか。徳島に赴任して来たとき、朝パジャマ姿で自動車に乗り、駅までスポーツ新聞を買いに来ていた人がいて驚いた。徳島では一家で5台自動車を持っている人もいる」と言われた。

 徳島県の1日当たりの歩行数は男性6507歩、女性5931歩と全国平均の男性7753歩、女性7140歩に比べ少ない。エネルギー消費の減少もあるので、阿波踊りで運動するのもいいだろう。しかし、糖尿病予防の基本は食事と運動だ。運動とともに、間食の量と質を考える必要がある。

 「徳島県が糖尿病死亡率の最下位を脱出するには、運動とともに食べ方の指導もしなくてはならない」と私はアドバイスする。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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