食事療法と残すことを学ぶ
2008年5月23日、日本糖尿病学会でグランドタワーメディカルコートの伊藤千賀子先生による教育講演5「食事療法」を聴いた。
食事療法は適正なエネルギーの摂取、脂質・蔗糖・果糖制限、正しい食習慣を挙げられた。外食では単品ではなく定食を、つけ野菜は食べる、麺類の汁も塩分を少なくするため残した方がよいなど具体的な話もされた。
印象に残ったのは「食べ物を残すことを学ぶ」というスライドだった。私が実践中で、成功している療法だ。
講演の後伊藤千賀子先生に「徳永先生、やせられました?」と聞かれた。鋭い。以前、神戸に伊藤先生を特別講演にお呼びした時より3kg体重は減っているだろう。4月24日から昼食を3分の1残している。それだけで、この1か月3kg、腹囲が3cm減少した。
5月24日シンポジウム15「肥満症治療の最前線」があった。大分大学第1内科の加隈哲也先生は、ヒトは動物と異なり①美味しい物があると食べる②もったいないから食べる③気兼ねして食べる④いらいらして食べる、という4つの食行動があると話された。
外食で残すことは難しい。残すともったいない、シェフに悪いと気兼ねしてしまう。外食時「少なめにして下さい」と言える食堂は少ない。
5月26日の昼食、三宮で初めてごはんの量を減らしてもらえる食堂を見つけた。ごはんとみそ汁、主菜1品、副菜2品で650円は安い。隣に座っている中年サラリーマンに「三宮にこんな店はないか」と聞くと「ここしかないのではないか。毎日違う品を食べることができ、安いので毎日来ている」と言われた。
三宮に働くサラリーマンにとって、食事量をコントロールするには自分で残すしかなさそうだ。高齢者は食事量が少なくなっている。量を気軽に言える店がもっとあっていい。
三宮で昼食時に自然と触れることができる場所を見つけた。職場から300m南東にある磯上公園だ。数週間前、薄いピンク色の花を咲かせていた乙女椿は枯れていたが、鳥のさえずりは絶え間なく聞こえてきた。
公園では30人近くの人が、グランドの周囲の階段に座って、コンビニで買った弁当やおにぎりを食べていた。
「食べ物を残すことを学ぶ」ことは肥満・糖尿病・メタボリックシンドロームの食事療法に有意義だが、外食で食事を残すことはもったいなく勇気がいる。レストランでの量を指示できるなど、社会整備が必要だ。