彦根の食・ロケ地とメタボリックシンドローム
2008年6月1日の誕生記念日は、藤沢周平原作の映画によく登場する彦根城に行くことにした
彦根城近くの夢京橋キャッスルロードには、白壁に黒格子の江戸時代風の家が建ち並ぶ。近江牛のステーキ屋が多い。「近江牛肉すき焼きセット」を食べた。前菜3つ、近江の生湯葉さしみ、キムチ、デザートがついて2300円は安い。初老の夫婦には多すぎるので、ごはんとうどんを半分残した。
京橋を渡って中堀の中に入ると、裁判所・検察があった。江戸時代ならさしずめ奉行所か。最初に市川染五郎・木村佳乃主演映画「蝉しぐれ」に出てくる大手橋に行った。内堀では70~80cmはある黒い鯉が5匹、オレンジ色の鯉が一匹、白鳥が7羽いた。
坂を昇って山田洋次監督、永瀬正敏・松たかこ主演の「隠し剣鬼の爪」が撮影された天秤櫓に行った。天秤櫓は豊臣秀吉が創った長浜城の門を移したもので、天秤の形をしていることから天秤櫓と呼ばれている。天秤櫓の右半分の石垣はごぼうずみになっている。自然の石が無造作に積まれているが、石の重心が内下方に向かっており堅固な造りだ。
山の頂きにある城に行くのは、いい運動になる。真田弘之・宮沢りえ主演の「たそがれ清兵衛」に出てくる天守閣からは雄大な琵琶湖の景色が望める。
石段の急な坂を降りると、大老井伊直弼の生誕地、楽々園があった。楽々園の名は「仁者は山を楽しみ、賢者は水を楽しむ」に由来していると書いてあった。江戸時代の武士も山、川の風情を好んでいたのか。
井伊直弼が17歳から15年間、青春時代を過ごした埋木舎(うもれぎのや)に行った。ここで木村拓哉・檀れい主演の「武士の一分」が撮影されている。彦根藩主の十四男として生まれた直弼は、自分を花の咲くこともない埋もれ木と同じだとして「埋木舎」と名付けている。
埋木舎時代の井伊直弼は国学、洋学、禅を学び武術、乗馬、茶の湯、能面作りなどに没頭している。兄で14代彦根藩主の養子から大老となり、幕府最高権力者となっている。
井伊直弼の評価は分かれる。日米修好通商条約を結び開国をし、日本の歴史を大きく変えた一方、安政の大獄を行って多数の志士を粛正し、「井伊の赤鬼」と呼ばれて多くの人々から怨まれている。彦根で平凡な一生を終えるのと、江戸城桜田門外で暗殺されるのと、どちらが幸せな人生だったのだろうか。
休日は美味しい物を少し食べ、自然の中を歩くとメタボリックシンドローム対策によい。