市立病院医師不足と2交代制勤務
2008年6月17日の夕刊に「医師数増加首相が了解」の記事が載った。舛添厚生労働大臣は、17日の閣議後記者会見し「医師不足の解消に向け、これまで抑制してきた医師数を増加させる」と表明した。福田首相の了解も得たことを明らかにした。
2008年6月14日、大阪大学医学部銀杏会館で第57回大阪大学第二内科内分泌代謝内科研究会が開催された。市立
医師が集まると、医師不足が話題となる。ある市立病院では「夜間40人救急患者が来て、一晩中救急患者さんが途切れることがない。終末期の患者さんをみていた病院がなくなり、市立病院がさらに忙しくなった。1時間も心臓マッサージをしていると腰が痛くなる」と言う。
市立病院の看護師さんは3交代制勤務をとっている。医師には2交代制勤務や3交代制勤務はない。当直の医師は、36時間連続勤務しなくてはならない。
今も、市立病院勤務医の開業ラッシュがつづいている。「報酬が少ないので市立病院を辞めていくのか」と聞くと、若手市立病院勤務医は「朝から夜の12時頃までの過酷な勤務で、疲れ果てて開業されている。患者さんからのクレームが多くて、精神的な疲れも大きい。一刻も早く市立病院を抜け出そうとされている」と言う。
2002年厚生労働省は医療機関の休日・夜間勤務について「短時間の業務に限定、当直は週1回を限度とし、夜間に十分な睡眠を取るように」との通達を出している。これができない場合は、交代制の導入などを検討するよう求めている。
労働基準法の第32条では「使用者は労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」「休憩時間を除き1日につきて8時間を超えて、労働させてはならない」としている。
医師は「聖職者」なのか「労働者」なのか。医師の長時間勤務は労働基準法に違反する。これまで、医師のプライドが労働者であることを拒んできたのかもしれない。しかし、現在の市立病院勤務医は、使命感を超える過酷な労働となっている。
今すぐ労働基準法を厳しく適用させれば、市立病院は大混乱となるだろうが、病院医師の2~3交代制勤務を実現させるなど、勤務医労働条件改善対策が望まれる。