神戸とメタボリックシンドローム

2008年6月20日

   2008619日、三宮の映画館で「僕の彼女はサイボーグ」を観た。綾瀬はるか・小出恵介主演で、観客の70%は若いカップルだった。市立病院勤務時代は好きな映画を4年以上観に行けなかったが、この3年間で30回以上映画館に行くことができた。

 

映画では見覚えのある神戸の街が何カ所か出てきた。神戸大丸百貨店、旧居留地、南京町などで撮影されていた。三宮に勤務してから、メタボリックシンドローム対策のため、毎日違うコースで帰宅している。旧居留地から南京町を抜け阪急花隈駅から乗車したり、旧居留地から神戸大丸前を抜け阪神元町駅から乗車したりしている。

 

「僕の彼女はサイボーグ」では大地震の場面が出て来た。2008614日に起きた岩手・宮城内陸地震から6日経った。1995年1月17日の阪神淡路大震災時、市立伊丹病院では地震当日より後の2週間の方が忙しかった。地震2日後には消炎鎮痛の座薬と、湿布が無くなり、薬局長に糖尿病患者さんに必要なインスリンの確保を頼んだ。

 

121日土曜日の午前9時から翌朝9時まで24時間の日当直が、私の医師としての人生で最も忙しい1日となった。当時の内科日直は入院、外来を1人で行っていた。

5東病棟の患者さんの心臓マッサージをしていると、5西病棟でも心停止の患者さんが出たと言われ、2つの病棟を往復した。外来では救急患者が4人待っているという。主治医を呼び出しても道路が渋滞しており23時間かかる。

誰も頼ることができず、一人で治療をしなければならなかった。重症患者が多く、1日でカウンターショックを2人、気管挿管を2人行った。伊丹市内の病院が倒壊するおそれがあるということで、3人を受け入れた。西宮市の避難所からも、患者引き取りの要請があり引き受けた。内科日直だけで8人が入院した。

朝から夕方まで動き回って診療した。午後5時から2人で当直を行うことになっていたが、なかなか当直が来ない。どうなるかと思ったが630分に遅れてやってきて、8時になりようやく医局に戻ることができた。

 

病院は1月中断水となったが、自衛隊から2日に一度給水があり助かった。大阪の千里中央に買い出しに行くと、大阪では別世界のように普通の暮らしをしていた。

 

街も、人の心も一瞬のうちに壊れていくことがある。三宮の南東にある磯上公園の周囲は高いビルが建ち並び、神戸の街は立ち直っている。磯上公園のフェンスに沿ってある夾竹桃(キョウチクトウ)の木に、濃いピンクの花が咲き始めた。もうすぐ神戸に夏が訪れる。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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