芦屋川とメタボリックシンドローム
2008年4月からの兵庫県民体の健康行動指標には「通勤・通学、ちょっとした工夫での楽しい運動」などがある。
4月から通勤を工夫し、毎日違ったコースで帰宅している。阪神三宮駅から阪神岩屋駅に行き、JR
阪神元町駅から阪神芦屋駅に行き、芦屋川沿いを歩いた。川の水は透き通っていて、底の岩や石がよく見える。ザーザーと流れる水の音に癒される。阪急芦屋川駅に来るのは26年ぶりだ。2日酔いの気だるい体で、この駅で下車し市立芦屋病院に通勤していたことを思い出す。
1982年、市立芦屋病院は当時5階建ての本館と、2階建ての北病棟からなっていた。芦屋病院では内科医師、内科外来、医局、5階病棟、北1病棟、北2病棟、病院管理職、薬剤部、
CTスキャンはなく、IVH(高カロリー輸液)・気管挿管もほとんどすることはなく、重症患者さんも酸素吸入・点滴をするぐらいだった。当直は月4回あったが、それほど過酷な勤務ではなかった。当時の市立病院は、私にとって楽しい職場だった。
夕方5時になると、正面玄関に先輩医師や看護師さんが待っていて、神戸三宮の東門筋に飲みに行っていた。5階病棟とは淡路島へ、北2病棟とは琵琶湖に一泊旅行をした。
11年後の1993年市立病院は一変していた。日勤の看護師さんは午後7~8時まで詰所で看護記録を書き、私は入院カルテ整理、会議、書類書きなどで8時前に病院を出ることができなくなった。
医療は検査や治療が高度化し、仕事量が各段に増えていた。多くの内科医師は心臓カテーテル検査、胃カメラ、超音波検査などで半日費やし、治療も高度となり1日3時間は仕事量が増していた。
医療が高度化し濃厚な診療をすることは、必ずしも医療従事者や患者さんを幸せにはさせない。治癒率の上昇による医療への過度の期待は、患者さんのクレームを増加させた。医療費が増加し続けているのも、高齢化だけでなく高度医療によるところが大きい。
「医学の進歩はよいことだが、デメリットもある。医療者と受療者が対立するのではなく、互いに尊重し信頼することが必要だ」と思った。