因果律とメタボリックシンドローム
2008年7月10,11日、第40回日本動脈硬化学会(山田信博会長)がつくば国際会議場で開催される。
山田先生は筑波大学内分泌代謝・糖尿病内科教授をされている。最近どこかで名前を見たことがある。そうだ、2008年3月11日マレーシアのクアラルンプールにある紀伊國屋書店で、知っている人が書いた本がないか捜し、唯一あったのが山田信博監修の「糖尿病の食事療法」だった。3分の2のページは料理のカラー写真だった。
山田先生とは若い頃、東京四ッ谷のスナックで水割りを飲んでいたとき、地震が起こりあわてたことがある。
金沢で日本糖尿病学会があった時、山田先生に山間部にある老舗料理店へ連れて行ってもらったことがある。「ゴリ」の造りが出てきた。ゴリは6~10cmの小さな淡水魚で、佃煮が土産に出ることが多いが、刺身は初めてだった。1匹のゴリから表と裏の2枚しか刺身が取れないという貴重なものだった。
7月10日午後2時からノーベル物理学賞を受賞された江崎玲於奈茨城県科学振興財団理事長の特別講演「サイエンスの心」がある。
江崎氏の学会抄録は難解だ。「進化の結果、ある動物は、これから起こるであろうことを予測できる機能を持ち始めた。すなわち敵や獲物、競争相手や恋人の出現に際して、先手を打って自らの行動を律する、という戦略を身につけた。
因果律の逆を行く先行性を身につけたことにより、自分が自主性を持つことに気がつき、ここに心が芽生えた。そうありたいという願望や夢を抱いたこの心は、やがて神々が宿る文化を創り、さらに、サイエンスの心が生まれて、人工物であふれる科学・技術文明を築いてきた」と書いてある。
人類は結果を予測して、悪い原因などを取り除く能力を身につけたということか。因果律とは「いかなる事象も過去に起こった事を原因として起こる」という考え方である。
因果律の概念は近世になり、自由意志の存在を否定する「決定論」に関連して論じられるようになった。アインシュタインの相対性理論では、時空連続体の概念が含まれ、ミクロの世界で因果律が破れる可能性が指摘されている。
メタボリックシンドローム対策は動脈硬化症発症に先手を打って、糖尿病・脂質異常症・高血圧を来さないよう内臓脂肪を減少させるものだ。世界に先駆けて、日本では国を挙げての特定健診・特定保健指導というメタボ対策が4月から始まっている。