政界とメタボリックシンドローム

2008年8月 5日

  政治は国内外を問わず議員の健康、取り分けメタボリックシンドロームによる疾患に大きく影響される。

 

2008724日のMedical Tribuneに「懸念されるマケイン議員の健康―報道内容は一貫していない」の記事が載っていた。米国大統領選で共和党から立候補しているマケイン候補の健康状態が話題になっている。

ニューヨーク・タイムズはマケイン氏が抗脂質異常症薬、利尿薬、抗血小板薬を服用している。ウォール・ストリート・ジャーナルは血圧が若干高めで、LDLコレステロール値も高いと指摘している。が、両紙ともマケイン氏の黒色腫再発の可能性は少なく、健康に問題はないとしている。

 

2008729日帰宅時、布引ハーブ園に行く新神戸ロープウェイに乗った。6人がけの席に1人、山を背にして海に向かって座った。ペンシル型のホテル、三宮の街並み、ポートピアランドが見え、だんだんと遠ざかっていく。途中から雨が降り始めた。林立する三宮のビル街を見て、日本の繁栄はいつまでつづくのだろうかと思った。

 

20068月、大阪市北区で経済界にいる友人と会席料理を食べながら話をした。友人は「2007年夏の参議院選で与党が負けるかもしれない。与党が大敗すると、与党の一部が分裂して野党と連立するかもしれない」と言った。

参議院選は友人の予想通り与党が大敗したが、キーマンの大物議員はメタボリックシンドローム関連疾患で倒れていた。与党の一部と野党との連立はなく、大混乱となった。大連立構想や、テロ特措法、ガソリン税暫定税率などの問題が起こった。もし動脈硬化性疾患にならなかったら、日本の政治は変わっていたかもしれない。

 

孫子曰わく「将とは智・信・仁・勇・厳なり」と。リーダーは頭がよく、人から信頼され、思いやり、勇気があり、厳しさを持っている人がよいという。国民は、批判ばかりするのではなく、日本の将となる人物を選び、育てる責任があると私は思う。

 

トップは孤独だ。一言口に出すと物事は動いていく。相談は家族か同級生ぐらいにしかできない。どの世界でもトップは人事など権限があり、多くの人から強く怨まれたりする。リーダーには強靱な精神力がいる。

 

ストレスの多い政治家はメタボリックシンドロームから心筋梗塞や、脳梗塞になることも稀ではない。政局はメタボリックシンドロームによる動脈硬化性疾患によって、一瞬のうちに変化することがある。リーダーは健康な心と体を保つことが必要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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