夢二ゆかりの街と肥満症サマーセミナー
2008年8月23日、日本肥満学会主催「第6回肥満症サマーセミナー」が岡山国際交流センターで開催された。
岡山大学腎・免疫・内分泌代謝内科の槇野博史教授が世話人をされ、テーマは「特定健診・特定保健指導と職域におけるメタボリックシンドローム対策」だった。午前中「肥満症の食事療法」の教育講演を、午後は治療のコメンテーターをした。
大阪大学内分泌・代謝内科中村正講師は教育講演「特定健診・保健指導と肥満症」で、「国保は初めて健診を受けた人が多い。国保の特定健診で血圧が200mmHg以上の著しい高血圧や、HbA1cが10以上の重い糖尿病が見つかり、将来的には医療費の削減に結びつくだろう」と述べられた。
「特定健診は患者の掘り起こしになり医療費が増加する」という意見がある。過剰な診療を行えば医療費は増加するだろう。一方、糖尿病性腎症による人工透析は年々、急速に増加している。透析には年間500万円かかる。内臓脂肪型肥満の概念を導入した生活習慣病予防で、透析導入を防げば医療費の抑制になるだろう。医療費の増加になるか抑制になるかは、やり方次第だ。
セミナー終了後、岡山後楽園に行った。槇野先生お勧めの「後楽園ライトアップ」は午後7時からで見ることはできなかった。庭園には白い二等辺三角形3面でできた大・中・小の照明具が各所に据えられていた。後楽園は回遊式庭園で、正面には岡山城が見えた。
旭川に架かる蓬莱橋を渡り「夢二郷土美術館」に行った。細面の顔をした200人近い女性が描かれている。漂泊とロマンの画家竹久夢二が生存した1984年から1934年には肥満はいなかったのだろうか。
手鏡を持った女性が描かれ「夏やせの鏡にうつる青葉かな」と書かれた絵があった。美術館の人に「青葉は人の名ですか」と聞くと「鑑に映っている青い葉じゃないんでしょうか。はっきりしたことは私にもわかりません。イメージを膨らませて下さい」と答えられた。
冷房の効いた現代社会では、夏に食欲が落ち夏やせすることは少なくなった。20数年前75g砂糖負荷試験をしていたことがある。75gの砂糖水は甘くて飲めず、シャーベットにすると75g摂取することができた。甘い飲み物も冷たくすると甘さを感じなくなる。
夏は食欲が落ちてやせるという時代ではなくなった。食べ過ぎたり、冷たい甘い物を飲み過ぎたりしないようにして太らないようにすることが必要だ。