食事バランスガイドと管理栄養士

2008年10月 1日

 2008925日、管理栄養士の人達とメタボリックシンドロームの食事療法について話をした時、食事バランスガイドのコマが話題になった。 

 「食事バランスガイド」は吉池信男青森県立保健大学教授らを中心に作成され、20066月に厚生労働省と農林水産省の合同で発表されている。日本古来のコマの形をしたメッセージ性の強いものとなっている。

 

「コマは食事のバランスが崩れたり、運動をしなかったりすると、回転しなくなって倒れてしまう」という理念がいい。各料理区分が量的な目安で示されている。円錐を逆さにしたコマの図は、しっかり意識して食べる必要があるものから順に描かれている。

上段から主食(ごはん、パン、麺類)、副食(野菜、きのこ、いも、海藻料理)、主菜(肉、魚、卵、大豆料理)があり、最下段は中央で半分に分けられ左が牛乳・乳製品、右が果物となっている。コマの軸は水・お茶となっている。軸の回りを人が走っており運動と書いてある。コマの紐(菓子・嗜好飲料)は細く描いてある。

 

 管理栄養士さんから「食品でなく料理として示してあるので、一般の人に分かりやすい」「スーパーやレストランで掲載してある所があり、活用されている」「食事は水が重要で、水を十分飲む必要があるとしている所がいい」「副菜の摂取量が少ない人は、コマをみると一目でわかる」などの意見があった。

 

  問題点を聞いてみると「主菜と副菜の区別が付きにくい。納豆は小皿に入っているので副菜と間違える人がいる」「主菜が少ないので魚や大豆をあまり食べることができない」「菓子とアルコールがコマの中にないので、お菓子やお酒をいくら摂ってもいいと誤解する人がいる」

 「秋になってトリグリ(中性脂肪)が増えた女性は大概、果物をたくさん食べている。果物は、ビタミンCやカリウムが豊富で健康にいいからと、たくさん食べる人がいる。牛乳もカルシウムが多いからと飲み過ぎて、高脂血症になる人がいる」と言う。

 

  洋菓子や和菓子に変えて、果物を食べるのはよい。しかし、果物もココアや赤ワインと同様に、健康によいからといって多く摂取すると太ってしまうことを肥満外来で何例も経験した。

 

秋は葡萄・梨・柿など美味しい旬の果物がたくさんある。中年男性は加工されていない新鮮な果物を適量そのまま摂取し、秋の味覚を堪能しながらバランスのいい食事をとるとよい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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