大分の魚・野菜とメタボリックシンドローム

2008年10月22日

    20081017日、大分iichiko総合文化センターで第29回日本肥満学会シンポジウム3「肥満症治療の新たな展開」が開かれた。

 

愛知学院大学健康栄養学科の酒井映子先生は魚・大豆・野菜料理の摂取を薦められた。「エネルギー摂取・脂肪摂取が多い人に、野菜の摂取を増やすことによって、過剰摂取が改善された。野菜を多く摂取すると欠食がなくなり、朝食を摂るようになった。野菜摂取を中心にすることが食生活の改善に最も重要だ」と述べられた。

 

大分大学第1内科の千葉政一先生は行動療法について話された。「毎日、グラフ化体重日記をつけるとよい。体重をきっちりつけ、食べ過ぎ・間食・夜食を是正すると、BMIHbA1cの減少が認められた。改善者では脂肪摂取量の減少と魚・野菜などの増加が認められた」と述べられた。私も体重が増えてくるとグラフ化して、自分で意識するようにしている。

シンポジウムでは、エネルギー摂取過剰や脂肪過剰摂取などに共通した食生活として野菜摂取不足があり、野菜摂取の重要性が指摘された。18日の教育講演、市民公開講座でも同様に野菜摂取が肥満食事療法のポイントだとされていた。

 

大分の夜は、豊後郷土料理を味わった。関あじ刺身、関さば琉球、豊後牛、とり天、ふぐ唐揚げ、焼きシイタケ、だんご汁、じゃこめし、やせうま、吉四六漬で4200円は安い。

「塩分が多いですね」と藤岡滋典先生は言う。確かに汁など大阪と比べ味付けが濃い。藤岡先生と肥満・糖尿病・高血圧・高脂血症について、45743人の各県別全国調査をしたときは、大分県の肥満や高血圧の割合は高くなかった(肥満研究9:64,2003)。

 

カリウムを多く含む野菜を十分摂っていることが、大分で高血圧が多くない要因かもしれない。だんご汁は細長く伸ばしただんごに、ネギ・人参・ゴボウなど野菜が一杯入って具沢山だった。吉四六漬は大根、人参などの根野菜をもろみ味噌に漬け込んだものだ。

琉球はさば・ブリなど新鮮な魚を醤油・ゴマ・ネギを入れた付け汁に浸し、しばらく置いたもので沖縄から伝わったという。とり天は鶏肉の天ぷらで大分家庭料理の代表的なもの、「やせうま」は細長く伸ばし茹でただんごに、きな粉をまぶしたおやつだった。

 

翌日の夜、別の郷土料理店で食べた「大分県産冠地鶏の炙り焼き」も野菜がたっぷり入っていた。焼き鳥のようなものかと思っていたら、炙った鶏肉が3倍近い量のレタス・玉葱など生野菜の上に乗っていた。

 

肥満・メタボリックシンドローム対策には、カロリーを減らすとともに十分野菜を摂取するのが良いようだ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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