源氏物語とメタボリックシンドローム
2008年11月22日、神戸国際会議場で第45回日本糖尿病学会近畿地方会(難波光義会長)が開催される。
プログラムを見ると土井内科から「楽しく糖尿病を学ぼうー源氏物語宇治十帖を尋ねて」の演題がある。土井邦紘先生とは兵庫県糖尿病治療研究会、兵庫県インスリン治療研究会、兵庫県肥満症治療研究会の世話人を一緒にしていた。たおやかな土井先生ならではの演題だ。
宇治十帖は紫式部の源氏物語54帖のうち、最後の十帖の舞台が宇治となっていることから呼ばれている。第45帖の橋姫から椎本(しいがもと)、総角(あげまき)、早蕨(さわらび)、宿木、東屋(あずまや)、浮舟、蜻蛉、手習、第54帖の夢浮橋までをいう。
宇治の源氏物語ミュージアム、世界遺産の宇治上神社あたりは、
私は市立伊丹病院時代、看護師さんや栄養士さんと協力して、毎年糖尿病患者さん40人と伊丹歴史探訪をしていた。奈良時代の741年に僧行基が農業用水として造った昆陽(こや)池、明智光秀謀反の4年前、織田信長に反旗を翻し滅ぼされた荒木村重の伊丹有岡城跡、などでウォークラリーをした。
昆陽池一周のウォークラリーをした時、脳梗塞で半身麻痺となった私の受け持ち糖尿病患者さんも参加された。杖を突きながら、歩けるところまで歩かれ、途中から車椅子に乗ってもらった。「すいませんね」と言われながらも、笑顔をされており楽しそうだった。緑の中を散歩する機会は、なかなかないのだろう。喜んでもらえて、よかった。
淡路島に日帰りバス旅行をしたこともあった。淡路島牧場に行き、洲本温泉で昼食と入浴をし、たこせんべいの里に行った。足の不自由な人も多く、「一生、旅行できないかもしれないと思っていました」と感謝された時には、医者冥利に尽きると思った。
メタボリックシンドロームや糖尿病患者にとって、地域にあわせて興味を持って歩くことは楽しいことだ。