ナイトホスピタルと適正医師数
2008年12月13日、第58回大阪大学第2内科内分泌代謝研究会が
一般演題で市立豊中病院内科糖尿病センターの木村武量(たけかず)医師から副腎疾患であるアルドステロン症3例の報告があり、うち2例はクッシング症候群を合併していた。以前、日本テレビの仲間由紀恵主演ドラマ「ナイトホスピタル」から、内臓脂肪型肥満とクッシング症候群についての取材を受けたことがある。
「クッシング症候群は副腎皮質ホルモン分泌過剰による疾患で、内臓脂肪型肥満と同じく内臓脂肪が蓄積してお腹が出てくるが、四肢は細くなる。クッシング症候群では、顔が丸くなり(満月様顔貌)、急速に太るとお腹に赤い皮膚線状ができる。副腎は腎臓の上にある臓器でCTスキャンなどで診断され、副腎摘出手術で治療ができる」など話した。
「ナイトホスピタルー病気は眠らない」は、仲間由紀恵演じる女医が活躍する夜間型専門病院のドラマだった。第4話「ヤセない体の謎」は、ダイエットでなかなかやせない内臓脂肪型肥満と思っていた患者さんが、実はクッシング症候群だったというストーリーになっていた。
病院勤務医は夜間でも働き、医師不足で一睡もできない救急病院もある。適正医師数について東北大学の伊藤恒敏教授らは、現在の医療状況を基本に必要とされる医師数を算出する推計モデルを考案されている(社会保険旬報2008)。
当直に必要な医師数、無医地区医師数などを考慮すると、日本における必要医師数は43万2000人になるとしている。
厚生労働省の「医師の需給に関する検討会報告書」では、2004年に医療施設に従事する医師数は25万7000人、必要医師数は26万6000人となっており、9000人の不足としている。医師数不足に対し、文部科学省では2009年の医師定数を7793人から約500人増加させるとしているが、多くの病院勤務医は不十分だと感じている。
「夜間十分睡眠が取れない病院」と厚生労働省が把握しているのは、全国にある一般病院7870のうち約600という。残り、90%以上の一般病院は宿直が主で、必要医師数にカウントされていない可能性がある。
世界不況により失業者が増加する世の中の一方で、医師不足から夜間長時間労働の過剰勤務を強いられている医師達がいる。医師不足の解消には、夜間診療の現実を報告する必要がある。勤務医・開業医を問わず、夜間も奮闘する医師が報われる制度にしたいものだ。