肥満税と糖尿病・メタボリックシンドローム
2008年12月25日、厚生労働省は平成19年の「国民健康・栄養調査」で糖尿病が成人5人に1人であることを公表した。
糖尿病が疑われる成人は890万人、予備軍は1320万人となっている。予備軍を含めると2210万人で、平成14年の1620万人に比べ5年間で1.4倍、平成9年の1370万人に比べると10年間で1.6倍になっている。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる人と予備軍(40~74歳の成人)は2010万人で、前年に比べ70万人増加している。
26日米国シカゴ在住の人と、肥満の話をした。
「米国では子供の肥満がものすごく増えている。子供の通っているシカゴの小学校では2年前から、M社のハンバーガーとK社のフライドチキンを止め、ヘルシーな食事に変わった。
肥満の子供がそのまま大人になったら、2大疾患の心筋梗塞と糖尿病が増え医療費が増加するので、危機感を持ったFDA(米国食品医薬品局)は11月から、大々的にキャンペーンを行っている。
肥満税も盛んに論議されている。航空会社のU社では"50kgと100kgの人では燃料費が異なるのに、同じ料金というのはおかしい"ということから、肥満の人にはチャージをかけることが検討されている」と言う。
燃料費を考えてチャージを取るのなら体重の絶対量が基準になるが、肥満予防という面から考えると肥満かどうかが基準となる。
2006年1月「次世代に向けた肥満およびメタボリックシンドロームの予防対策」について医療関係者にアンケート調査を行なった所、70名から解答があった。
大部分は食事、運動に関するものだったが、税金を課する対策を考えている人もいた。「カロリーの高いスナック菓子やチョコレートなどに税金をかける(検査技師)」「アルコールによる肥満を防止するため酒税を上げる(看護師)」「自らの目標体重および腹囲を申告し、目標をクリアできれば所得税の控除が受けられるようにする。下げれば下げるほど控除率を上げていく(医療事務)」などの意見が寄せられた。
法律による肥満規制は、古くはローマ帝国時代にさかのぼる。ローマ時代、豪華な食事で肥満が増加し、食事に費やされる金額を制限する法律や、宴席での人数を制限する法律が施行されている。1920年代、スウェーデンでは肥満の人に対し「体重が200ポンド(91kg)以上の人は1ポンドにつき1ドル徴収する」という税制を行おうとした。
私は肥満者に課税するのではなく、肥満の要因となるものに課税する方がよいと考える。