南アジアの肥満と2型糖尿病
日本肥満学会からは松澤佑次理事長、吉松博信国際委員会委員長らの出席が予定されている。インドでも肥満に対する関心は高く、松澤先生は4年前「アディポネクチンの発見」で、インドで最も権威のある賞を受賞されている。アディポネクチンは脂肪組織から分泌される物質で、抗動脈硬化作用とともに抗糖尿病作用を有している。
1月7日、インド国営の航空会社エア・インディアは「極めて太りすぎ」を理由に、10人の女性客室乗務員を解雇したことを明らかにした。
1月8日、インド・ムンバイ在住の人と肥満の話をした。「インドで肥満は"富"と"美形"の象徴だったが、インド人は油っこい食べ物が好きで車に乗ることが多く、肥満が増加し社会問題となっている。ベジタリアンは肉や魚を食べないが、食用油をたっぷり使った料理を食べるので、カロリーが多くなっている。野菜の天ぷらも衣に油がたっぷりある。
富裕層の女性は1ヶ月1万円でメイドを雇っているので、動くことがなく完全な運動不足になっている。富裕層の子供は太っているが、貧困層の子供はやせている。富裕層だけでなく、中間層でも肥満は増えてきている。心筋梗塞や糖尿病が増加し、健康志向となり減量ジムなどが流行っている」
「ムンバイの物価は高く、ニューヨークや東京より高くなっている。アパートは1ヶ月70~100万円で、サービス・アパートは月150万円もする。住居費だけで年1000万円かかる。2008年11月26日にインド・ムンバイ同時多発テロ事件があったタージ・マハル・ホテルは1泊5万円と高い」と言う。そのうちムンバイのバブルは、はじけそうだ。
IDF(国際糖尿病連盟)は「世界の糖尿病は2003年の1億9400万人から2025年には62%増の3億3300万人に増加する。また、南アジア地域の糖尿病の増加率は最も高く3930万人から108%増の8160万人になる。
東アジア・オセアニア地域は4300万人から76%増の7580万人へ、欧州は4840万人から20%増の5860万人へ、アラブ地域は1920万人から105%増の3940万人へ、アフリカ地域は710万人から111%増の1500万人へ、北米は2300万人から57%増の3620万人へ、南米は1420万人から85%増の2620万人へ増加する」と予測している。
インドを含む南アジアは、2025年には東アジア、欧州を抜き、世界一の糖尿病地域になると予測され、肥満対策が必要だ。