公立病院民営化とメタボリックシンドローム
2009年1月13日、
2008年春、大阪での会合のあと公立病院再編に携わっている大物の事務系の方に「公立病院は無くなるかもしれない」と、さりげなく言われた。一部の公立病院は無くなると思っていたが、全ての公立病院が無くなるなど考えてもいなかったので驚いた。
2008年夏、街でばったり市民病院の部長と出会った。「公立病院がゼロになるかもしれない」と話をすると「その方がいいですよ。民営化された方が経営も楽になる」と、あっさり言われてしまった。
「民営化されれば、不採算部門をしなくてよくなる。この病院はガン、あの病院はメタボリックシンドロームといったように、それぞれの病院が得意な分野に特化することができる」と言う。
その部長のいる市民病院への補助金は8%だ。全国の公立病院への平均補助金16%に比べ低い。東京都の公立病院への補助金30%に比べると遥かに低い。他の市民病院の院長に聞くと「補助金は20%あり、経営はなんとかやっていけてる」と言う。
テレビでは、1つの公立病院が閉鎖になるというだけで、大騒ぎをしている。全体的な議論はない。一気に公立病院が民営化されると、いろいろな矛盾点が出てくるだろう。
都会では代わりの病院があればいいが、問題は地方の病院だ。地方の自治体病院が無くなれば、一番困るのは地方の住民だろう。救急、産科、小児科などの不採算部門は、警察や消防と同じように別個の収支にして残す必要があるだろう。
地方病院勤務医の都会での開業ラッシュがつづいている。ある地域の新規開業の半数以上は、地方病院勤務医となっている。21世紀になり、大学病院勤務医は40%減少、病院勤務医は15%減少し、それとほぼ同数の医師が都会の開業医になっている。
大学の研究・教育崩壊、地方病院の診療崩壊をくい止めるには、どうすればよいのだろうか。厚労省からも医師会からも一目(いちもく)置かれる人物の登場が待たれる。