阪神生活習慣病研究会とメタボリックシンドローム

2009年2月 1日

    2009129日、第10回阪神生活習慣病研究会が兵庫県尼崎市にあるホテル・ニューアルカイックで開催され、オープニングとクロージングの挨拶をした。

阪神地区で私は5つの研究会を立ち上げた。阪神生活習慣病研究会は、開業医の先生方を対象にしたもので、肥満・脂質異常症・糖尿病・高血圧をテーマとしている。

 

阪神地区(尼崎、伊丹、宝塚、川西、西宮、芦屋)は人口160万人から成り立ち、京都、大阪、神戸出身の先生が群雄割拠し、シルクロードのような面白い地域である。全国の著名な先生は京大、阪大、神大どこかの先生と人脈でつながる。阪神生活習慣病研究会の世話人に、京都大学出身の越山裕行先生と神戸大学出身の藤岡由夫先生にお願いした。

以前、門脇孝先生、下村伊一郎先生に特別講演をしてもらった。数年後、門脇先生は東京大学内分泌代謝内科教授、下村先生が大阪大学内分泌代謝内科教授になられている。縁起のいい研究会だ。

 

今回の特別講演は、船橋徹大阪大学内分泌代謝内科准教授の「生活習慣病対策における地域連携―地域病院、かかりつけ医に求められること」だった。尼崎市は特定健診・特定保健指導の発祥の地だと話された。

船橋先生は「人間ドック学会の調査で異常なしの人が初めて減少し、子供の肥満が減少に転じた。これはメタボリックシンドローム対策の効果かもしれない。世の中が不況となり仕事がなくなり失業すると、自宅にいて油物を食べ運動不足になる。不況が続くと肥満が増えるメタボ対策が必要だ」と言われた。

ちなみに静岡市は全国に先駆けて行政と連携して予防医学に取り組み、医師会の先生が市民70万人に、100カ所で"認知症対策"などの講演活動を行うという。これから益々、行政との連携が重要になっていくのだろう。

 

131日昼、尼崎市にある田能遺跡公園へ行った。田能遺跡は17002300年前の弥生時代の遺跡で、今にも雨が降り出しそうな曇り空の下、公園にいるのは9羽の鳩だけで人一人いなかった。エリを立てて歩いた。ザーザーと風に揺れる木の音がし、キュンキュン・キーキーと鳥の囀りが聞こえてくる。茅葺きの円形平地住居と方形竪穴住居があった。

方形堅穴住居の中は風が防がれ、寒さが和らいでいる。外からカーカー烏の鳴き声が聞こえてくる。「2000年前には肥満はなかっただろう。当時、認知症になった人は家族に守られて生きていたのだろうか。弥生時代には携帯電話もテレビも自動車もなく生活していた。一握りの食料さえあれば、人類はのんびりとした時間を過ごすことができる」と思った。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

著作権について