田舎暮らしと小学時代の想い出
2009年2月26日、診察室に田舎で暮らす本を持って入って来られた受診者がいた。「老後は、田舎の川のそばで暮らしたい。できれば海か湖が近い所がいい」と言われる。
定年後の年金生活を田舎で暮らしたいという人も多い。故郷、瀬戸内海の島、暖かい沖縄、琵琶湖の畔、登山ができる長野県、健康相談が人生相談になることもある。
夕方帰宅時、前日と同じ
対岸の河原では、成人8人が野球の練習をやっている。メタボリック対策のためか、トレーナーを着た中年男性がジョギングをし、隣を過ぎ去っていく。中年女性が2人連れだって、おしゃべりをしながらウォーキングをしている。
帰宅すると広島県庄原小学校時代の同級生から、クラスメートの訃報がパソコンメールに入っていた。小学1、2年の時仲良しだった友人が、2月24日午後5時50分亡くなっていた。ふっくらとした四角い輪郭の顔をして、目は細くいつもニコニコしていた。還暦の年になると、同級生など訃報のメールが多い。
故人が転校する前、よく家に遊びに行っていた。彼の家の近くには西城川が流れており、水たまりにはメダカがたくさんいた。永い眠りにつくとき、脳裏をよぎったのは故郷の山や川だったのか、残された家族のことだったのか。
彼とは、クラスでトップを競っていた。彼はドリル問題をよくしていた。私は逆に「授業をしっかり聞いて、教科書を完全にマスターすればいい」という父の教育方針で、参考書と問題集を買うことはなかった。
父は小池書店、白部書店の庄原で2軒しかない本屋で、図鑑や童話・偉人伝をよく買ってきてくれていた。草花図鑑、動物図鑑、乗物図鑑などあり興味のある所を見ていたが、地理図鑑の火山の構造など面白かった。
本には買った順に1番から100番台まで番号を付け、順番に本棚に本をしまっていた。本を積み上げる人がいるが、下になった本は「死に本」になってしまう。利用されにくくなり本がかわいそうだ。
父は寝床で子守歌代わりに、小川未明の童話集を読んでくれていた。今思うと、父も子供に本を読みながら、自分も楽しんでいたのかもしれない。
田舎で自然と親しみながら暮らし、心と体の健康を保って、ゆったり生きるのもいい。