阿波踊り体操とメタボリックシンドローム
2009年4月8日の朝刊に「糖尿病克服、徳島県の挑戦」「阿波踊り体操メタボ編など取り入れ」の記事が載っていた。
徳島県は糖尿病による死亡率が1993年から14年連続「全国ワースト1」だった。行政と医師会は「プラス1000歩県民運動」、徳島名物の阿波踊りを取り入れた「阿波踊り体操」など全県あげて取り組み、昨年全国7位になった。自動車を使う人が多く歩行数が少ない運動不足と、甘いもの好きで間食が多い食生活が原因とされている。
郷土料理をアレンジした低脂肪・高繊維の「ヘルシー阿波レシピ」の開発、間食でスイーツを取りすぎたら夜の食事を少なくするという栄養指導、などがされている。外食栄養表示普及推進チームもでき、健康づくり推奨店には認定証を出し、カロリー数など食事バランスのよいヘルシーメニューを提供している。
県民運動のリーダーをされている島健二徳島大学名誉教授は大阪大学第2内科の先輩で、1994年徳島で開催された第37回日本糖尿病学会の会長をされている。島先生は徳島大学定年後、1年間受験勉強をし66歳で徳島大学総合科学部に入学、長年の夢であった考古学コースを専攻された。
島先生は著書「定年教授は新入生(集英社)」の中で、高齢化社会での定年後の生き方を示されている。受験勉強の楽しさ、センター試験でのエピソード、教師という教える立場から若い学生に混じって教わる立場になったときの戸惑い、など一気に読める。
私は今から37年前の1972年、大阪大学医学部5年生の夏休み、同級生と1カ月間かけ西回りで世界一周をした。香港、イタリア、スイス、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、アメリカと回った。スイスでは街のディスコに行った。徳島県出身の同級生田中健君が日本から持参した雪駄(せった)を履いて行った。
1ドル300円の時代で日本人は珍しい。雪駄を履いて見たこともない阿波ダンスを踊る私たちに興味があるのか、みんなが集まってきた。スイスの地元の娘さんたちとジルバなど踊ることができ、日本の伝統ダンスは国際親善に役立った。
市立伊丹病院時代、徳島県出身の山本國夫甲子園大学栄養学部教授と学生さんたちに協力してもらい、肥満・糖尿病教室で阿波踊りを患者さんたちと行った。はじめは恥ずかしかったが、みんなで踊ると怖くない。阿波踊りは観るより、踊った方が楽しい。腰をかがめて踊ると、いい運動になった。
阿波踊りは健康ダンスとして、国内のみならず国際的にも通用するかもしれない。