医師の地域偏在と時間偏在
2009年4月21日、財務省は財政制度等審議会で都道府県ごとの医師数について、人口と面積を基準にした独自の指数を公表した。
平成18年度の都道府県ごとの医師数を全国平均を1として指数化している。最も高いのは東京で3.19、次いで大阪2.43、神奈川1.53、福岡1.45、京都1.33となっており都市に医師が多い。
指数が低いのは茨城0.70、次いで岩手0.74、青森0.74、新潟0.76、福島0.76の順で、東京都と茨城県では4.6倍の格差が出ている。財務省は、医師が不足しがちな地域への診療報酬を手厚く配分することで、地域間格差を是正することを検討しているという。
2009年3月29日、日医会館で開催された第120回日医定例代議員会で勤務医対策が議論されている。日本医師会の三上裕司常任理事は「現在、顕在化している医師不足は、まさに病院勤務医の不足だ。診療科偏在、地域偏在が注目されているが、最も大きいのは時間偏在による夜間・休日の医師・医療不足だ。
この部分に対し真摯な取り組みを進めることが、病院勤務医に対する日医からの強いメッセージになる」と発言している。三上理事は大阪大学時代の同級生で、学生の頃は童顔だったが貫禄がでてきた。三上君より童顔だった私の方が老けてしまった。
先日、財務官僚と話をする機会があり、財務官僚の情報収集能力の高さ、切り口の鋭さに感心した。関西の地盤沈下について聞くと「大阪の官と民が協力して知恵を出せばいい。今、最大の貿易港は、名古屋港、横浜港、神戸港でもなく成田空港になっている。
関西空港は成田空港と比べ、空港面積が広く、滑走路の長さも長い。成田が23時から6時まで夜間、閉鎖になっているのに対し、関空は24時間オープンと着陸料以外すべての面で関空が有利になっている。
にもかかわらず、関空の輸出入量は成田の4~5分の1だ。成田は東日本の輸出入のほとんどを扱っているが、関空は関西の輸出入の半分しか扱っていない。関空での23時から6時の発着便は少なく、24時間空港の利点が生かされていない。
西日本の輸出入を関空で行うようにすれば、関空の輸出入は倍増する。大阪の官と民が努力して、23時から6時までの発着便を増やし、夜間の物流を増やせば、夜の大阪の繁華街も一晩中活気づくのではないか」と言われた。
財務省は厚生労働省と議論を重ね、医師の地域偏在対策とともに診療科偏在、時間偏在対策にも取り組んで欲しい。それが国益となる。