低出生体重児とメタボリックシンドローム
2009年5月3日午後8時30分から、広島県立庄原格致高校1968年卒同窓会の2次会が庄原グランドホテルのチャーリー・ブラウンであった。
「庄原日赤病院の産科が閉鎖され、庄原市で出産できなくなった。少子化が問題となっているのに、国は無駄使いをせず産科医療にお金を使ったらいい」と同級生は言う。私達は、自宅で生まれてきた。私と同じ助産師さんにとりあげられた同級生も多いことがわかった。出産にはリスクがあることを理解してもらえなければ、昔に戻るのは難しいだろう。
新生児集中治療管理室(NICU)の不足が指摘されているが、NICUは2122床(2002年)から2341床(2005年)と増えている。厚労省母子保健統計によると、出生数は1994年の124万人から2005年106万人と減少しているが、低体重児は逆に8.8万人から10.1万に増加している。
やせ願望による低栄養や、高齢期出産による子宮機能低下が要因と考えられている。
低出生体重児はメタボリックシンドロームになりやすいことを、英国のバーカー教授らは指摘している。胎内での低栄養状態はインスリン抵抗性、膵臓β細胞の低形成、腎臓糸球体ネフロンを減少させ、将来、2型糖尿病や高血圧を発症しやすくするというものだ。
動物実験でも母体を低栄養にするとメタボリックシンドロームを発症しやすいことが確認されている。
子育てをしながら働いている女医さんは「女性有名歌手が高齢出産について不用意な発言をしてバッシングを受けたが、メディアは誰一人擁護しなかった。本当は大事な問題を提起しており、女性が出産後社会復帰し、キャリアとして働ける社会にしなければならないのに」と言っていた。
「フランスが出生率を2.01人(2006年)に上昇させたように、何年かかるかわからないが日本ももっと少子化対策に力を入れて欲しい」と同級生は言う。フランスでは①家族手当を子供2人以上で支給、②3歳まで休職可能で復職後も地位保障、③結婚にとらわれない平等な社会風土実現、の対策で出生率を回復している。
結婚年齢が上昇し、少子化が進む日本で高齢出産は有難いことだが、何万年もかけてできた出産適齢期は、結婚適齢期のように、社会的変化にすぐには適応できない。飢餓の時代を生き抜いた人類が、過剰栄養の時代でメタボリックシンドロームになるのと同じだ。
「フランスのように大胆な方針を立て出産適齢期に出産しないと、日本の少子化・メタボリックシンドロームの増加は防げないのではないか」と私は思う。