糖尿病・口腔保健とおしん
エコバッグの中には、糖尿病診療機関として高く評価されている米国ジョスリン糖尿病センター制作の「糖尿病と口腔保健」「糖尿病と歯周病」の2冊の冊子が入っていた。
冊子には「糖尿病患者は歯肉炎・歯周病を起こしやすく、歯周病に罹患した糖尿病患者は腎疾患など合併症のリスクが約5倍になる。歯周病の治療によって、感染や炎症を抑えることで、インスリン抵抗性が軽減され、血糖コントロールが改善される。
健康な口腔を保つには歯科医院でブラッシング指導を受け、毎日歯と歯ぐきをブラッシングし、歯間ブラシなどを用いてプラークを取り除くことが大切だ。特に、糖尿病患者については歯科医院で歯のクリーニングを最低でも年に2回は受けて、普段の手入れでは取り除けない箇所にたまったプラークや歯石を取り除く必要がある」と書いてある。
2つの冊子の裏表紙にはサンスター歯科保健振興財団提供とある。サンスターの金田博夫会長は広島県出身で、毎月広島ゆかりの人達で行っている勉強会の会長をされている。
今月行われた勉強会では、会員の江村美代子さんから「おしゃまな女の子夢かなう」(日本経済出版社2009年)のサイン入り本をいただいた。婦人服"ラピーヌ"に勤められ、上場会社では日本で最初の女性代表取締役となられている。フランスの田舎町ムーランのお針子から起業した女性ファッションデザイナー"ココ・シャネル"のようだ。
大阪万博ではコンパニオンのユニフォームも作られている。ディオールに憧れてデザイナーの道を目指された江村さんは "美しく立体的なヨーロッパ的なシルエット"をコンセプトに万博のユニフォームを創作されたという。パリでクロード・モンタナとの技術提携もされている。
江村美代子さんは広島県神石郡高蓋(たかふた)村字光信の出身だ。神石郡は庄原市の隣にある山村で、最近は神石牛で有名になっている。お父さんは婿養子で、お父さんの愛情をたっぷり注がれて育てられたのだろう。中学時代、お父さんの海軍服を手縫いでセーラー服に作り直して着ておられたという。
江村さんは美しい服を作りたいという夢を描き、福山駅から鈍行で6時間かけ大阪に出られている。86歳で現役歯科医をしている私の母も、東京の歯科医専に入学するため、祖母といっしょに福山駅から東京まで夜通し立ちつづけて行っており、よく似ている。
住み込みで社長の子どもさんの世話をし、食事の仕度をしたり、漬物を漬けたりと、朝も夜も休日もなく、厳しい叱責を受けながら修業をされたという。"広島版おしん"として、NHK朝の連続ドラマのヒロインにでもなりそうな人生だ。