鴻池善右衛門ゆかりの地とメタボリックシンドローム
2009年6月7日、東大阪市鴻池元町にある史跡・重要文化財「鴻池新田会所」に行った。太極拳仲間の三和銀行OBに、"大阪の高齢者向け穴場スポット"として鴻池新田会所を勧められた。
鴻池新田は江戸時代、3代目鴻池善右衛門が開発している。鴻池家は兵庫県伊丹市で造酒業を営んでいたが、大阪に移り海運・両替商など行い、幕末には日本最大の豪商となり「日本の富の7分は大阪にあり、大阪の富の8分は今橋(鴻池家)にあり」と形容された。
江戸時代の鴻池新田会所(鴻池家の支所)は、役所と警察を兼ねたようなものだった。80畳の土間の中央には5つの竈があり、天井には樹齢400年のクロマツでできた豪壮な梁(はり)があった。天井の梁を見ていると、子供のころ行った父の実家を想い出す。父の実家は庄屋をしており、天井には村人が大勢で運んだという大きな梁があった。
会所は本屋、屋敷蔵、文書蔵、米蔵、道具蔵の5棟が日本国の重要文化財として指定されている。本屋には生駒山を借景とする回遊式庭園があった。見学に来ているグループの人に、どこから来られたか聞くと、姉が住んでいる東大阪市中小坂の自治会の人たちだった。
敷地内の畑にはカボチャが植えられ、白い小さな蝶々が飛んでいた。陽ざしが眩しい。健康を維持するためには、1日30分は日光に当たる必要がある。市立伊丹病院時代の12年間は、朝の通勤時10分間しか日光に当たらず、これが骨粗鬆症の要因になったのかもしれない。医師も医師不足で無理をつづけると、どこか体に不可逆性の変化を来すことがある。
10代目鴻池善右衛門さんは、三和銀行を創設されている。三和グループには日立製作所、サントリー、サンスター、双日、岩谷産業、関西ペイント、新明和工業、東洋ゴム工業、ダイワボウ、ダイソー、野村ホールディングス、大同生命、阪急電鉄、ユニチカなどがあるという。
10代目鴻池善右衛門さんは、三井家といっしょに三井銀行も設立されている。11代目鴻池善右衛門さんは協和銀行(現りそな銀行)を設立し、頭取となられている。三菱東京UFJ銀行(三和銀行)、三井住友銀行、りそな銀行に鴻池財閥の血が流れているのは面白い。世の中は、財閥からみるとわかりやすいことがある。
鴻池善右衛門さんは上品な人で「テレビに出られている方は親戚ですか」とたずねると「よく聞かれるんですが、あの方は一族ではありません」と笑顔で答えられた。鴻池善右衛門さんはメタボ対策として、ウォーキングをされている。
高齢者にとって名所・旧跡巡りは、知的好奇心を満足させるとともにメタボリックシンドローム対策にもなる。