兵庫県公立病院再編と勤務医不足
2009年7月10日朝刊に「医師6人が退職―川西市立病院診療体制見直し」の見出しの記事が載った。
兵庫県川西市立川西病院は9日、常勤医師が8月末までに退職などで減少するのに伴い、診療体制を見直すと発表した。「危機的な状況と認識している。医師確保に向けて力を尽くす。兵庫医大や大阪大学に働きかけていく」と事務長談話がある。
6月21日のメタボリック教室第219段"女性の星と医師不足"で「大和川や猪名川から向こうにある市立病院から大阪大学がいつ撤退してもおかしくない」と書いたが、私の直感は当たり、1か月もたたないうちに現実のものとなった。
猪名川から向こうとは阪大用語で"兵庫県にある病院"を意味する。阪大は兵庫県下に市立川西病院、市立I病院、市立N病院、市立A病院を持っている。
2008年、国の人に「これからは滋賀県全域の医療は、滋賀県立医大に責任を持って行ってもらう。奈良県は奈良県立医大、和歌山県は和歌山県立医大、兵庫県は神戸大学が行うようになるだろう」と言われた。奈良医大や和歌山医大が、大阪府から撤退しているのはそのためか。
病院勤務医の開業ラッシュで、大阪大学関連病院は医師不足となっている。大阪府下の市立病院勤務医も確保できない大阪大学が、兵庫県下の市立病院に医師を派遣するものだろうか?兵庫県の市立病院は大阪大学から見放されるのではないかと直感した。
2009年2月、市立川西病院の人に会った時「兵庫県にある市立病院は、大阪大学から神戸大学など他の大学に移るかもしれない」と話すと「そんな馬鹿な!」と驚いていた。無理もない。私自身、市立病院勤務医時代、国の人と話すことなど皆無だった。
阪神間には160万人の人が住んでいる。神戸大学に阪神間の市立病院を支えるだけの勤務医がいるのか。神戸大学は姫路など播磨地区や、豊岡など但馬地区まで広い地域を持っている。市立I病院は既に循環器内科、呼吸器内科、糖尿病内科(一部)が大阪医大になっている。
7月12日、40分かけ大阪医大のある高槻市に行った。槻の木高校ではテニス大会が行われていた。高校前の公園には鳩が30羽おり、鬱蒼と繁った木の中で蝉がジンジン鳴いている。高槻第1中学のグランドでは高校野球の試合が行われていた。夏がやってきた。
城跡公園では、イチョウの木の前を黒いアゲハ蝶が飛んでいる。赤、ピンク、オレンジ、白、黄色の花が咲いている花壇の前で、心地よい風を受けながら、15人で太極拳を舞った。小さな子供たちがサッカーボールを蹴って遊んでいる。
医師を育て、養成するには時間がかかる。