北京の肥満と自動車社会

2009年7月21日

   2009718日、ANA159便18K席で3度目の北京入りをした。

北京の人口は1700万人で、農民工340万人を加えると、2040万人になる。北京の新都心CBD(中央ビジネス区)にあるザ・リッツ・カールトン北京820号室に宿泊した。隣にはJWマリオットホテルがあった。

 

ホテルに隣接するショッピングセンター"新光天地"にはグッチ、ブルガリ、ベルサーチなど世界標準のブランドが揃っていた。地下の食堂街で昼食を食べている人の中には太り気味の女性や、お腹の出た中年男性などがいた。北京では5年の間に、肥満の人が随分増えている。

 

オリンピック会場の鳥の巣(国家体育館)、5角形と6角形の面でできた水立方(国家水泳センター)を見て、古い街並みの胡同(フートン)へ行った。

三輪車での胡同めぐりで民家を訪ねた。築200年で、4部屋に4家族9人住んでいるという。壁が50cmあり、屋根が高くなっており、扇風機だけでも涼しく感じた。クーラーなしの生活は地球温暖化対策となる。

 

20年前の19892月、北京に来たときは、自転車が道路いっぱいに広がって走っていた。夜930分、北京飯店のタクシー乗り場で13人の列に並び、30分待って乗車し、宿泊していたシェラトン長城飯店まで帰った。世界が変わるのは、あっという間だ。

 

胡同からホテルまで自動車がいっぱいで渋滞しており、50分かかった。「今日は土曜日で、全てのナンバーの車が走れるので余計に混んでいるのではないか。平日はCO排泄削減のため、北京では車の下一桁ナンバー2つが制限されている。オリンピックの時は、下一桁ナンバーが偶数か奇数かで、半分に制限されていた」という。

 

2009年上半期の中国における自動車販売数は6098800台となり、米国を抜いて世界一の新車市場となっている。トヨタ、ホンダはハイブリッド車でリードしている。順境の時こそ、つまづくことがある。

友人は「世界一の自動車消費国の中国BYDと米国GMがタッグを組み国策として自動車を開発したら、ハイブリッド車対電気自動車・プラグインハイブリッド車の対決となり、ベータ対VHSのようになるかもしれない」と言っていた。世界標準化に向け、熾烈なたたかいが始まっている。

 

20086月中国次世代委員会は「2005年の622歳の都市部での肥満率は男子11.4%、女子5.1%で、北京市では21.7%と非常に高い」と報告している。原因として"西洋のファーストフードの食べすぎ"と"運動量減少"を上げている。

北京の肥満増加には、自動車社会も関係しているのだろう。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
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