北京の肥満と自動車社会
2009年7月18日、ANA159便18K席で3度目の北京入りをした。
北京の人口は1700万人で、農民工340万人を加えると、2040万人になる。北京の新都心CBD(中央ビジネス区)にあるザ・リッツ・カールトン北京820号室に宿泊した。隣にはJWマリオットホテルがあった。
ホテルに隣接するショッピングセンター"新光天地"にはグッチ、ブルガリ、ベルサーチなど世界標準のブランドが揃っていた。地下の食堂街で昼食を食べている人の中には太り気味の女性や、お腹の出た中年男性などがいた。北京では5年の間に、肥満の人が随分増えている。
オリンピック会場の鳥の巣(国家体育館)、5角形と6角形の面でできた水立方(国家水泳センター)を見て、古い街並みの胡同(フートン)へ行った。
三輪車での胡同めぐりで民家を訪ねた。築200年で、4部屋に4家族9人住んでいるという。壁が50cmあり、屋根が高くなっており、扇風機だけでも涼しく感じた。クーラーなしの生活は地球温暖化対策となる。
20年前の1989年2月、北京に来たときは、自転車が道路いっぱいに広がって走っていた。夜9時30分、北京飯店のタクシー乗り場で13人の列に並び、30分待って乗車し、宿泊していたシェラトン長城飯店まで帰った。世界が変わるのは、あっという間だ。
胡同からホテルまで自動車がいっぱいで渋滞しており、50分かかった。「今日は土曜日で、全てのナンバーの車が走れるので余計に混んでいるのではないか。平日はCO2排泄削減のため、北京では車の下一桁ナンバー2つが制限されている。オリンピックの時は、下一桁ナンバーが偶数か奇数かで、半分に制限されていた」という。
2009年上半期の中国における自動車販売数は609万8800台となり、米国を抜いて世界一の新車市場となっている。トヨタ、ホンダはハイブリッド車でリードしている。順境の時こそ、つまづくことがある。
友人は「世界一の自動車消費国の中国BYDと米国GMがタッグを組み国策として自動車を開発したら、ハイブリッド車対電気自動車・プラグインハイブリッド車の対決となり、ベータ対VHSのようになるかもしれない」と言っていた。世界標準化に向け、熾烈なたたかいが始まっている。
2008年6月中国次世代委員会は「2005年の6~22歳の都市部での肥満率は男子11.4%、女子5.1%で、北京市では21.7%と非常に高い」と報告している。原因として"西洋のファーストフードの食べすぎ"と"運動量減少"を上げている。
北京の肥満増加には、自動車社会も関係しているのだろう。