エコポイントと診療科格差社会
2009年8月4日、朝刊1面に「普通車1年ぶりに増加:7月販売エコカー減税効果」と「パナソニック赤字幅縮小:9月中間業務予想」の見出しで自動車・電機の記事が載っていた。
「自動車販売が急回復をみせている。自販連が8月3日発表した7月の新車販売台数は、前年同月比4.2%減の29万台だった。政府のエコカー(環境対応車)減税や買い替え補助の景気対策が浸透し、昨秋から続く自動車市場の落ち込みが底を打った格好だ」
「パナソニックは8月3日、平成21年9月中間連結決算の業績予想を上方修正し、・・・7~9月期の営業損益は2億円の黒字に転換する見通し。政府のエコポイント制度導入の効果が国内の販売を押し上げ、海外での復調傾向が鮮明となった」とある。
2009年初め、ある方が「世界的な経済不況で、日本の業界の多くが経済危機に陥っている。しかし、日本の体力からすると、すべての業種を救うことはできない。国は自動車・電機は救うだろうが、K・Fはどうなるかわからない」と言われた。
8月4日、銀行OBの友人に「自動車・電機は国の力で回復したようだが、K・Fはどうなっているか」聞いてみた。友人は「ドイツでは自動車産業に、日本よりもっとお金を出して救っている。F業界は倒産する所は倒産し、一周した。K業界は我慢比べをしている所だろう。国のさじ加減一つで、業界はどうにでもなる」と言う。
2009年8月30日の第45回衆議院総選挙に向け、各党はマニフェストを出している。どの政党も医療について、産科・小児科・救急医療に言及しているが、具体的なことは書いてない。
厚生労働省は2008年の医科診療所1施設あたり医療費は8996万円と公表している。診療科別では内科9395万円、小児科6908万円、外科8824万円、整形外科1億789万円、皮膚科7196万円、産婦人科4771万円、眼科9183万円、耳鼻咽喉科7634万円となっている。
小児科は少なく、産婦人科は極端に少ない。医は仁術といわれるが、設備費・人件費を考えると、暮らしていけない産婦人科も出てくるだろう。診療報酬点数(ポイント)は病院と診療所、診療科間の医師偏在の大きな要因となっている。国のさじ加減一つで、診療報酬点数は変わる。
日本肥満学会雑誌「肥満研究」編集委員のコンセプトは、編集委員長50歳代・編集委員40歳代とし、学会誌は好評を得ている。
「診療報酬点数を決める委員会も、医療現場をよく知る40歳代の人を委員とし、まとめ役として50歳代の人を委員長にすれば、産科・小児科・救急医療の診療報酬点数をより適切なものにすることができる」と私はアドバイスする。