お盆休みとメタボリックシンドローム
2009年8月15日土曜日から3日間、お盆で広島県庄原市に帰省した。
勤務している健康管理センターは、毎年お盆の次の週の月曜日が休みで3連休になっている。普段休みが取れない人が、お盆休みにやって来る。
今年も空腹時血糖226mg/dl・HbA1c9.6の糖尿病の人、血圧が216/110mmHgの高血圧の人、心室性期外収縮が連発している人などが来られ、コンサルトして医療機関に紹介した。体重減少・全身倦怠感や動悸・息苦しさがあっても、仕事が忙しく夜遅くまで働き、休めない人達がいる。ワークシェアリングをすればよいと思う。
8月15日午後3時30分、中国縦貫道の岡山県大佐SAでは雨があがり、気温は20℃と大阪の連日33℃に比べ13℃も低く、半袖では寒いくらいだ。午後5時30分、父と祖父母の墓に行き送り火を焚いた。お墓の後ろには5階建ての庄原市役所新庁舎が建っていた。
8月16日、高校の同級生の家を訪ねた。「今年、地元高校からの国公立大学合格者はゼロだった」と言う。46年前の1963年、私達の学年は20人が国公立大学に合格し、うち2人が国立大学医学部に入った。都会と田舎との間で高校間格差が拡がっている。
田舎に医師が来ても、子供を医学部に入学させることが難しい教育環境になっている。中学の時から都会の進学校に入れ、下宿させないといけない。各都道府県にある国公立大学医学部は田舎公立高校枠を作り、地元に帰って医療を行う条件で、優先的に入学させればいいと思った。
8月17日朝、実家の歯科を出る時、待合室には4人患者さんが待っていた。87歳になる高齢の母は、白衣を着ると見違えるほどシャキッとする。都会では医師・歯科医師が過剰になっている所があるが、田舎では高齢医師・歯科医師が地域医療を支えている。
帰路、庄原市西城町で醤油を買い、国道183号線・314号線を通り、秘境と呼ばれる庄原市東城町小奴可(おぬか)に初めて行った。「こんな所に住むと、時間がゆっくり進むような気がする」と妻は言う。父は戦前、内堀(うつぼり)小学校教師時代、緑の草原を荒馬に乗って疾走していたという。
庄原市東城町の観光地"帝釈峡"に行き、神龍湖遊覧船に乗った。紅葉の季節に、父と遊覧船に3度乗ったことがある。湖は緑に包まれ、船の窓から入る風が心地よい。湖の上ではトンボが飛びまわり、岸辺では小さな鳥が歩いていた。
船を降りて近くの食堂に入ると、高齢夫婦2人だけで店を営まれていた。珍しい郷土料理"わかさぎうどん"を注文した。「わかさぎは夫が神龍湖で釣り、私が煮たんですよ」と老夫人は言われる。食べた後「おかげさまで、美味しく頂くことができました」とお礼を言って店を出た。