長妻医療改革の1丁目1番地
2009年10月1日、中医協(中央社会保険医療協議会)の診療側委員が改選される。これは長妻昭(あきら)厚生労働大臣にとって医療改革の最初のヤマ場となる。
マスコミは少し前まで、医師不足・救急医療問題を取り上げていたが、今は前原誠司国土交通大臣の八ツ場(やんば)ダム問題、亀井静香金融担当大臣の中小企業向け融資問題で、医療・福祉問題はすっかり忘れられたようだ。
中医協は公的医療保険における療養給付の額「診療報酬」を決定する。委員は支払い側委員7名、診療側委員(医師・歯科医師・薬剤師を代表する委員)7名、公益委員6名からなる。
現在の診療側委員は日本医師会副会長、日本医師会常任理事2名、全日本病院会会長、全国自治体病院協議会会長、日本歯科医師会常務理事、日本薬剤師会副会長からなっている。3日後、7名のうち日本歯科医師会常任理事を除く6名が改選される。
自民党政権下では厚生労働大臣によって、医師委員の過半数に当たる3名が日本医師会から選ばれている。「病院に厳しい診療報酬や医師偏在は、診療側委員の偏在による」と指摘する人もいる。日本医師会の多くの先生方が、日本の医療を支えてこられたことには敬意を表するが、病院を離れて長い人に現場を理解しることは難しい。
少子高齢化で産科の収入は2分の1、小児科の収入は3分の2に減少し、病院での産科・小児科は赤字となっている。診療報酬を上げれば病院は産科・小児科を存続させることができるだろう。救急医療も同じで診療報酬を上げればいい。
病院の基本入院料を10~20%上げれば、多くの病院の経営は安定する。医師不足・救急医療問題は診療側委員の選び方にかかっている。
9月28日、午後5時25分、豊中市服部緑地にある日本民家集落博物館前に車を止め、鬱蒼と繁る木々の間を歩いた。今にも降り出しそうな、どんよりとした曇り空の下、ベンチに座った。カーカーと鳴いていたカラスが、池の中のドームの上に飛んできて止まった。池の向こうの道を老夫婦がウォーキングをしている。
診療側委員に誰を選べば日本の医療を崩壊させずにすむか?緑の空気を胸いっぱいに吸い、ザーザーという木の葉の音を聴きながら考えた。地域の中核病院が崩壊したら、開業医も困る。大学も医師が激減し教育・研究・診療に支障をきたしている。医師の偏在で産科・小児科が少ない。郡市医師会には、多くの有能な人材がいる。
私が厚生労働大臣なら「地方の病院長、大学、産科・小児科の現場を代表する人、病院を離れて間もない郡市医師会の人達を選ぶだろう」と思った。