善玉タンパク質とCKD・NASH・がん予防

2009年9月 5日

    200992日、朝刊に「善玉タンパク質、アディポネクチン:臓器障害がん化抑制」の特集記事が載った。

「心筋梗塞など生活習慣病を起こすメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の研究から見つかった善玉タンパク質、アディポネクチン。その作用が詳細となるとともに、動脈硬化を修復するだけでなく、心臓や腎臓、肝臓の組織が壊れたり、がん化したりするのを防ぐ役割が明らかになってきた」と書いてある。

 

大阪大学内分泌代謝内科木原進士(しんじ)講師らによる"アディポネクチンは心不全、CKD(慢性腎臓病)、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)、がんを予防するという最新研究成果"を紹介している。

「心臓については、血圧を上げるホルモン(アンジオテンシンⅡ)を投与し、筋肉を線維化の状態にしたところ、障害部位にアディポネクチンが集まり修復していること。

腎臓については、腎臓を6分の5切除し、アディポネクチンを減少させておくと強い線維化が起こるが、アディポネクチンを補充するとCKDの指標である尿中蛋白量が3分の1に減少すること。

肝臓については、アディポネクチンは線維化を作りだす特定の細胞(伊東細胞)の働きを抑え、NASHを防ぐこと。

がんについては、アディポネクチンが低下した状態では、大腸がんや肝臓がんがより高率に発生すること」を明らかにしている。

 

木原進士講師は大阪大学第2内科の後輩で、米国テキサス州ヒューストンにあるベイラー大学に留学していた。19911011日、シカゴでの国際動脈硬化学会で学会発表後、シカゴオヘア空港から午後650UA693便でヒューストンに向かった。午後926分空港に着くと、暑い中、木原君が迎えに来てくれていた。

新築のきれいな家の、天井にある大きな扇風機がまわる部屋で、ビールとつまみで1時まで大学の話をした。1012日の朝食は、ご飯に鮭、海苔、味噌汁だった。木原夫妻・子供さんとテキサス・ルネッサンス・フェスティバルに行き七面鳥を食べ、ティファニーでヒトデの形をした首飾りを土産に買った。

 

1013NASAを見学し、午後515CO2774便で、VMHPVN破壊肥満ラット実験のため、ルイジアナ州バトンルージュに向かった。630分空港に着くと、留学中の群馬大学小内亨(おないとおる)夫妻が迎えに来られていた。ブレイ教授も加わられ、ザリガニ料理を食べた。

実験中、ルイジアナ州立大学で「内臓脂肪と糖・脂質代謝異常、高血圧、冠動脈疾患」のレクチャーをしたり、ニューオーリンズに行きフレンチ・クオーターでガンボを食べ、いろいろな形をしたブードゥードールをお土産に買ったりした。

18年間で内臓脂肪と疾患との研究も飛躍的に進歩した。食事と運動により善玉タンパク質を増やし、動脈硬化症・心不全・CKDNASH・がんを予防しよう。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
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