浜松の食と肥満・高血圧

2009年10月11日

    2009108日午後340分、ひかり4786号車20E席で、新大阪から第30回日本肥満学会が開催される浜松に向かった。明け方まで近畿地方に猛威をふるった台風18号も去り、新幹線の車窓から入る西陽が眩しい。 

浜松駅に隣接するオークラアクトシティホテル浜松3512号室に宿泊した。35階から見える、浜松市北部の市街地が美しい。午後6時からアクトシティ浜松コングレスセンターで評議員会が開催され、日本肥満学会認定肥満症専門病院に新たに7施設が加わった。

 

地方の学会での楽しみは、郷土の食材を使った料理を食べることだ。オークラホテルで浜松ならではの鰻、牛肉、地元の野菜を使った料理が出された。

帆立のマリネイチゴソース、浜名湖産鰻のテリーヌ洋ワサビ風味クリームソース、フォワグラソテー洋梨ビュレーと浜松産香草添え、コンソメメロメロ風、真鯛のポワレブロッコリー花芽のせ浜名湖産青海苔入りソース、柚子風味シャーベット、和牛ローストトリュフ入りソースにデザートが付いていた。

 

109日の教育講演4は国際医療福祉大学の杉原甫教授による「目で見る脂肪細胞:小児の脂肪細胞、メタボリックシンドロームの成り立ち」だった。

新生児の皮下には既に30μmの成熟した細胞が見られ、0歳から思春期までの脂肪細胞は球形で小葉、血管分布など成人と変わらない。成人の脂肪細胞の直径は7090μmだが、 1歳時でも5080μmで、100μmのものも見られる。小児の成人と異なることは未熟脂肪細胞が多数存在し、数が増加しやすいことであると話された。

 

肥満で何故、高血圧が起こるか新しい仮説も発表された。現在、肥満・内臓脂肪と高血圧との関連は一部しかわかっていない。

肥満・メタボリックシンドロームでは脂肪細胞、特に内臓脂肪が肥大し、直径が最大140μmまで達する。大きく肥大した脂肪細胞に、血管が食い込んでいる衝撃的な電顕写真を示された。球形だった脂肪細胞が多面体になり、血管は細胞の間を曲がりくねって走行するため長くなる。血管の抵抗性も高血圧の1要因であるとされた。

 

夜は藤岡滋典先生とうなぎの老舗「八百徳」で特上うな重を食べた。藤岡先生と行った全国5万人の調査では、静岡県は男女とも肥満、高血圧は少ない方だった。

 

1010日昼のランチョンセミナーの弁当は「家康折詰め弁当」だった。家康が幼少を過ごした駿府の名産"美黄卵玉子焼き"、静岡名産わさび漬、由比名物桜海老かき揚げカテキン抹茶塩、焼津名物はんぺん生姜焼、鰻蒲焼、桜海老の混ぜ寿司、蜜柑などが入っていた。浜松は海の幸、山の幸に恵まれた所だった。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

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