浜松の食と肥満・高血圧
2009年10月8日午後3時40分、ひかり478号6号車20E席で、新大阪から第30回日本肥満学会が開催される浜松に向かった。明け方まで近畿地方に猛威をふるった台風18号も去り、新幹線の車窓から入る西陽が眩しい。
浜松駅に隣接するオークラアクトシティホテル浜松3512号室に宿泊した。35階から見える、浜松市北部の市街地が美しい。午後6時からアクトシティ浜松コングレスセンターで評議員会が開催され、日本肥満学会認定肥満症専門病院に新たに7施設が加わった。
地方の学会での楽しみは、郷土の食材を使った料理を食べることだ。オークラホテルで浜松ならではの鰻、牛肉、地元の野菜を使った料理が出された。
帆立のマリネイチゴソース、浜名湖産鰻のテリーヌ洋ワサビ風味クリームソース、フォワグラソテー洋梨ビュレーと浜松産香草添え、コンソメメロメロ風、真鯛のポワレブロッコリー花芽のせ浜名湖産青海苔入りソース、柚子風味シャーベット、和牛ローストトリュフ入りソースにデザートが付いていた。
10月9日の教育講演4は国際医療福祉大学の杉原甫教授による「目で見る脂肪細胞:小児の脂肪細胞、メタボリックシンドロームの成り立ち」だった。
新生児の皮下には既に30μmの成熟した細胞が見られ、0歳から思春期までの脂肪細胞は球形で小葉、血管分布など成人と変わらない。成人の脂肪細胞の直径は70~90μmだが、 1歳時でも50~80μmで、100μmのものも見られる。小児の成人と異なることは未熟脂肪細胞が多数存在し、数が増加しやすいことであると話された。
肥満で何故、高血圧が起こるか新しい仮説も発表された。現在、肥満・内臓脂肪と高血圧との関連は一部しかわかっていない。
肥満・メタボリックシンドロームでは脂肪細胞、特に内臓脂肪が肥大し、直径が最大140μmまで達する。大きく肥大した脂肪細胞に、血管が食い込んでいる衝撃的な電顕写真を示された。球形だった脂肪細胞が多面体になり、血管は細胞の間を曲がりくねって走行するため長くなる。血管の抵抗性も高血圧の1要因であるとされた。
夜は藤岡滋典先生とうなぎの老舗「八百徳」で特上うな重を食べた。藤岡先生と行った全国5万人の調査では、静岡県は男女とも肥満、高血圧は少ない方だった。
10月10日昼のランチョンセミナーの弁当は「家康折詰め弁当」だった。家康が幼少を過ごした駿府の名産"美黄卵玉子焼き"、静岡名産わさび漬、由比名物桜海老かき揚げカテキン抹茶塩、焼津名物はんぺん生姜焼、鰻蒲焼、桜海老の混ぜ寿司、蜜柑などが入っていた。浜松は海の幸、山の幸に恵まれた所だった。