デジタル時代とメディア
2009年10月30日午前、グランドハイアット台北での南カリフォルニア大学(USC)同窓会は、ものものしい厳戒態勢で始まった。
会場の前には、灰色の制服を着た警備員が左右に立って手荷物チェックをし、報道陣はシャットアウトされていた。会場は横40席、縦13列で、一つ一つの椅子は赤い布で覆われ、ほぼ満席になっていた。手荷物は椅子の下に置くようアナウンスがあった。
参加した560人のトローヤンファミリーは、アジアのUSC留学生が3分の2、アジア駐在のUSC卒業米国人が3分の1となっている。USCは全米1留学生が多く、アジアでの同窓会はUSCしか開くことができないだろうと言われている。
目玉の台湾副総統(台湾ナンバー2)による「台湾の経済」の講演があった。ダークスーツを着たSPとともに入場されると、全員起立し拍手で迎えた。副総統は"両岸共同市場"を提唱し、"台湾経済復興の設計士"と呼ばれ、胡錦濤中国国家主席と過去最高位の中台対話をされている。また、パウエル米元国務長官ら要人とも会見されている。
壇上に立たれると、再度全員起立し拍手をした。副総統は45分間、台湾経済の現況、短・中長期的展望について話された。
日本からは100人参加していてもおかしくないが、10人しか来ていない。USC同窓会に出席するのに、日本では自腹で有給休暇をとって来なければならない。会社ぐるみで参加している国もあり、一社で10人来ている所もあった。
講演中、SPの人達が左右の壁に等間隔に立たれ、不審な動きをする人がいないか、写真を撮ろうとする人がいないか、目を光らせていた。終了後、12人のSPを従え退場されるのを、全員起立し拍手で見送った。
30日午後、USC教授による「デジタル時代におけるメディア」の講演があった。「これからニュースはテレビ、インターネットで見る時代となる。テレビができてもラジオが絶滅しなかったように、デジタル時代になっても新聞はいくつか残る。米国の新聞はニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナルなど5紙ぐらいになるのではないか。
書籍もネットで読むようになり、アマゾンやグーグルが既にデジタル化を進めている。図書館の本もデジタル化されつつある」と話された。
30日夜、ホテルに隣接する台北101に行った。台北101の外観は竹をイメージし、縁起のいい数8層になっている。午後7時10分、その日4032番目の入場者になった。世界最速の日本製エレベーターに乗り、5階から地上382mの89階まで37秒で着いた。
メタボリックシンドローム対策のため、歩いて91階の戸外観景台に昇った。外は風が強く、寒かった。帰りの下りエレベーターは45秒かかった。