脊椎動物グルコースと太極拳の極意
2009年12月5日、新大阪ワシントンホテルで第60回大阪大学第2内科内分泌代謝研究会が開催された。
特別講演は大阪大学第2内科垂井清一郎名誉教授による「生態系における糖質と光合成」だった。「最近、山高く水清き屋久島に行ってきた。日本の森林率は70%と、フィンランドと並んで高い。森林は大切で、森林がなくなると地球の生態系は崩れ砂漠が広がる。シュメール文明が滅亡したのも水がなくなったからだ。
脊椎動物はグルコース(ぶどう糖)を、昆虫はグルコースが二つでできたトレハロースを、植物はグルコースとフルクトース(果糖)でできたショ糖(砂糖)をエネルギー源として使っている。
何故、進化した脊椎動物が、安定した二糖類を使わないで不安定な単糖類のグルコースを使うのか。脊椎動物がグルコースを使うのは、放電後、神経へのエネルギー補給をスピーディーに行うためではないか」と話された。
懇親会で、市立病院勤務医と話をした。「市立病院の内科医師が開業して内科医不足になり、1カ月に15日も当直か夜間オンコールになっている。保険の書類が多すぎ、1度に5枚持ってくる患者もいる」と言う。病院勤務医の過重労働軽減のため、書類作成を手伝う事務クラークへの手当確保が必要だろう。
12月6日、午後1時30分から大阪市立大淀コミュニティーセンターで、「太極拳交流会」が開催され130名が参加した。午後3時40分から懇親会があり、広島から来られた玉森師範が丁度私の斜め前に座られ、今まで知らなかった太極拳についていろいろな話を聞くことができた。
「太極拳は常に筋肉を弛緩させておくことが必要だ。筋肉を弛緩させる目的は、相手から攻撃された時、すぐに反撃できる体制をとっておくためだ。筋肉を緊張させておくと、筋肉を一度緩め再び緊張させるため、攻撃に時間がかかる。筋肉を緊張させないためには肩関節、肘関節などの関節を135度以上開かないことだ。
太極拳の型は決まっておらず、何でもありの武道だが、筋肉をストレッチのように伸ばしたり、関節を135度以上開いたりすると太極拳ではなくなる。
太極拳は相手が自分より強い時に行う武道で、相手が攻撃してきた時は正面から受け止めないで、相手からの攻撃を90度別の方向にそらすことがコツだ」と1時間の間に、太極拳と体操との違いなど、興味ある話をたくさん聞いた。
太極拳は脊椎動物の白鶴や孔雀の動作を取り入れている。太極拳の極意は"脊椎動物に与えられたグルコースを上手に利用し、いかに神経をすばやく働かせて相手の動きをキャッチし、スピーディーに行動するかだ"と直観した。