認知症を防ぐ食品と肥満・糖尿病
2009年12月11日金曜日、太極拳仲間の忘年会が大阪府高槻市のKICHIRIであった。高槻の街はネオンが輝き、人、自転車、自動車でごった返し、不況を感じなかった。
13名(男性5名58~70歳、女性8名)が出席し、糖尿病の1型と2型の違いや乳がんの見つけ方など聞かれた。1型はインスリン注射が必要なことや、乳がんの50%は上外4分の1の部位にできる、など話をすると熱心に聞いておられた。
若い頃は病気と無縁だった人も、加齢とともに病気を多く持つようになる。医療者仲間では常識だと思っていたことも、一般の人は案外知っていない。40年間蓄積してきた医学的知識が、これから役に立ちそうだ。
話が盛り上がり、午後11時30分にお開きになった。JR大阪駅からの終電は、朝のラッシュ時のようにギュウギュウ詰めとなった。午前0時35分のJR伊丹駅では、いつもとは逆にタクシー待ちが30人になっていた。底冷えする寒さの中で、ぽつりぽつりと来るタクシーを待って、風邪をひいてしまった。
12月12日、テレビを見ていると「認知症」の番組を放送していた。「糖尿病、脂質異常症、高血圧を有する人は認知症に2倍なりやすい」と話されていた。認知症を防ぐ食品として、画面左から机の上にグラスに入った赤ワイン、半分に切ったカボチャ、みかんの山、背の青い魚、緑茶の5つの食品が並べられていた。
赤ワインは認知症を防ぐポリフェノールが入っておりグラス1~3杯が適量だ。野菜や果物には抗酸化作用のビタミンCやビタミンEが含まれている。魚にはドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエンサン(EPA)などのn-3多価不飽和脂肪酸が含まれている。緑茶は認知症を防ぐカテキンをたくさん含んでいるという。
赤ワイン、カボチャ、みかんは私が肥満・糖尿病外来を行っていた時、取り過ぎないよう患者さんに注意していた食品だ。認知症によい食品でも取り過ぎると、肥満・糖尿病を悪化させ逆効果になる。赤ワインブームの時に肥満者が増えた。高齢者は甘いカボチャが好きで、食べ過ぎて肥満になった人がいた。正月にみかんを食べ過ぎて太った人がいた。
一般視聴者は認知症を防ぐ食品を、たくさん食べればよいと誤解するかもしれない。総摂取エネルギー量が多い人は認知症になる危険性が1.5倍になるという報告もある。食品を一品、一成分だけで考えず、食事全体の中で考える必要がある。
認知症を防ぐには"適量でバランスのよい食事をとること、よく体を動かすこと、十分な睡眠をとること、社会へ積極的に参加して人と接すること"が有用だと考える。