認知症を防ぐ食品と肥満・糖尿病

2009年12月24日

    20091211日金曜日、太極拳仲間の忘年会が大阪府高槻市のKICHIRIであった。高槻の街はネオンが輝き、人、自転車、自動車でごった返し、不況を感じなかった。

 

13名(男性55870歳、女性8名)が出席し、糖尿病の1型と2型の違いや乳がんの見つけ方など聞かれた。1型はインスリン注射が必要なことや、乳がんの50%は上外4分の1の部位にできる、など話をすると熱心に聞いておられた。 

若い頃は病気と無縁だった人も、加齢とともに病気を多く持つようになる。医療者仲間では常識だと思っていたことも、一般の人は案外知っていない。40年間蓄積してきた医学的知識が、これから役に立ちそうだ。

 話が盛り上がり、午後11時30分にお開きになった。JR大阪駅からの終電は、朝のラッシュ時のようにギュウギュウ詰めとなった。午前035分のJR伊丹駅では、いつもとは逆にタクシー待ちが30人になっていた。底冷えする寒さの中で、ぽつりぽつりと来るタクシーを待って、風邪をひいてしまった。

 

1212日、テレビを見ていると「認知症」の番組を放送していた。「糖尿病、脂質異常症、高血圧を有する人は認知症に2倍なりやすい」と話されていた。認知症を防ぐ食品として、画面左から机の上にグラスに入った赤ワイン、半分に切ったカボチャ、みかんの山、背の青い魚、緑茶の5つの食品が並べられていた。

 赤ワインは認知症を防ぐポリフェノールが入っておりグラス13杯が適量だ。野菜や果物には抗酸化作用のビタミンCやビタミンEが含まれている。魚にはドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエンサン(EPA)などのn-3多価不飽和脂肪酸が含まれている。緑茶は認知症を防ぐカテキンをたくさん含んでいるという。

 

赤ワイン、カボチャ、みかんは私が肥満・糖尿病外来を行っていた時、取り過ぎないよう患者さんに注意していた食品だ。認知症によい食品でも取り過ぎると、肥満・糖尿病を悪化させ逆効果になる。赤ワインブームの時に肥満者が増えた。高齢者は甘いカボチャが好きで、食べ過ぎて肥満になった人がいた。正月にみかんを食べ過ぎて太った人がいた。

 一般視聴者は認知症を防ぐ食品を、たくさん食べればよいと誤解するかもしれない。総摂取エネルギー量が多い人は認知症になる危険性が1.5倍になるという報告もある。食品を一品、一成分だけで考えず、食事全体の中で考える必要がある。

 

認知症を防ぐには"適量でバランスのよい食事をとること、よく体を動かすこと、十分な睡眠をとること、社会へ積極的に参加して人と接すること"が有用だと考える。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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