ホーチミンの家と日本の教育
2009年12月30日午後、ハノイ市内にあるホーチミン廟に行った。
ホーチミンの家のパンフレットには10枚写真が載っており、英語、中国語、フランス語、韓国語で説明が書いてあるが、日本語がない。ガイドさんに聞くと「観光客はヨーロッパの人が一番多く、韓国の人が日本人の人より多いからだ」と答えられた。
1954年から1969年までホーチミンが晩年を過ごした家は、高床式の質素なものだった。ココナツの木があり、鳥の鳴き声が聞こえる。家の前にある池に餌がまかれると、水面から100匹近い鯉が飛び跳ねて寄ってきた。黒い鯉に混じって、橙色の鯉もいる。庭にあるザボンの木には大きな実がなり、重みで枝がたわんで折れそうになっていた。
次いで、ベトナム最古の大学の文廟(ぶんびょう)に行った。文廟は孔子を祭るため1070年建立され、孔子廟ともよばれる。科挙試験合格者の名が刻まれている石碑が82基あり、それぞれの石碑は亀の背中にのっていた。亀の頭をなでるとボケ防止になるとされ、亀の頭はピカピカに光っていた。
1週間前、大手メーカーの知人と日本の教育について話をした。「中国は教育熱心で、小学生は学校が終わった後、塾で2時間勉強し、家に帰ると毎日携帯電話で送られてくる宿題を3時間かけてやっている。ゆとり教育は子供の時はいいかもしれないが、社会に出てからの60年の人生の方が長い。脳は柔らかいうちに鍛えておいた方がいい」と言う。
米国在住の知人は、パソコンメーカーとIT会社の人事担当者に「日本人は韓国人、中国人に負けてしまう。韓国人や中国人は嫌なことでもするが、日本人は嫌なことはしない」と言われたという。"嫌なことはしなくていい、競争しなくていい"という日本の教育が、若い日本人の国際競争力を失わせているのかもしれない。
公認会計士の友人は「栄枯盛衰。栄えたものは必ず衰退する。日本の若い人にハングリーさが感じられない。これからの日本は、かって世界を2分したスペインやポルトガルのような国になるのではないか」と言う。
日本は教育国で、人が財産だったのに、これからの日本教育はどうすればよいのか?ナンバーワンよりオンリーワンなのか?
ベトナムの肥満児は都会、富裕層に多い。母親がほうびにケーキ、アイスクリーム、ファーストフードを与えるのも一因だという。日本でも肥満外来を受診した超肥満児がぐずりだした時、母親が「大人しくしなさい。後でアイスクリームを買ってあげるから」とあやすと、「チョコとバニラとイチゴのトリプルがいい」とせがんでいた。親の教育も必要だ。