大阪大学第2内科同窓会と開国か鎖国か
2010年1月9日、大阪リーガロイヤルホテルで第58回大阪大学第2内科同窓会が開催され、200名が出席した。
特別講演は札幌医科大学第1内科篠村恭久(ともひさ)教授の「北海道の医療」だった。「札幌、旭川、函館を除く地域は医師不足で、根室の人口当たりの医師数は札幌市内の3分の1しかいない。札幌医大が派遣している内科医は、約半数の病院が2人だけになっており、勤務医は疲弊している」と話された。
篠村君は大阪大学の同級生で、私の妻が出産で実家に帰っていた時、近所にいた篠村君の家で"すき焼き"など御馳走になっていた。
懇親会では、山形大学副学長をしている河田純男君など同級生が7人来ていた。河田君はC型肝炎と闘う医師たちの姿を描いた小説「Cの受難」(文芸社2008年)を出版している。
民主党のマニフェスト公約の医師養成数1.5倍について、医師過剰になることを心配する声があるが、いつでも医師部定員数を減らすことができる制度にしておけばよい。医師の絶対数を増加させるとともに、医師の偏在をなくすことも同時に行なう必要がある。
医師養成数を1.5倍にする方法として、他学部を出た後、4年間医療を学ぶメディカルスクールを唱える人達と、それに反対し外国の優秀な人の入学を唱える人達がいる。
大阪大学は、幕末の蘭学者"緒方洪庵"が作った適塾の伝統を受け継ぎ、留学生を多く受け入れている。現在、大阪大学には1455人が留学しており、うちアジア人は77%で、国別では中国443人、韓国215人、タイ92人、ベトナム79人、インドネシア64人、台湾63人、マレーシア53人となっている。
米国には世界中から優秀な若い人たちが集まり、定着し、人口が年間300万人づつ増加している。米国は世界の優秀な頭脳で、IT、化学、薬品など技術革新をしている。日本の大学も、あらゆる国の大学生が競争し、若者が世界を目指さないと、医学部だけでなく、理学部、工学部も世界から取り残されるのではないか。
インドに11回行った先輩医師は「私が若い頃は海外に行くのが夢だった。今の若い人は海外への興味をなくしている。若い世代は保守化、鎖国化している。メディカルスクールは社会を経験しているので臨床医にはいいかもしれないが、研究するには若いほどいい。若い優秀な外国人が、日本の学生に刺激を与えるのがいいのではないか」と言われる。
これからの日本は、開国か?鎖国か?北欧諸国のような福祉国家にするのか?外国から優秀な頭脳を取り入れ、米国のような技術分野で世界をリードする国にしようとするのか?明確なビジョンを打ち出すことが必要だ。