栃木の食とストレス・うつ病
2010年3月21日、栃木県にある自治医大学での産業医研修会で、新潟県労働衛生協会の大西金吾理事による「ストレスとメンタルヘルス」の講義があった。
「ストレスに強い人は、夢と生きがいを持つ人、両親から愛された人、苦労を乗り越えて人情機微の分かる人、良い友人に恵まれている人、体力のある人だ。一方、周囲のことがあまり気にならない人、鈍感でめでたい人、諦めの早い人もストレスに強い。
うつ病に絶対ならない人は、何を言われようが何を注意されようが気にせず、職場を乱す場合がある。職場では、うつ病になる人より、うつ病に絶対ならない人の方が問題になる場合も多い」と話された。
ストレスに敏感過ぎるのもうつ病になってよくないが、ストレスに鈍感過ぎるのもよくないようだ。うつ病になりやすい人は、ストレスが少ない時代には有利な体質だったのかもしれないが、狭い空間に人がひしめく現代の競争社会では不利になっているかもしれない。
肥満・メタボリックシンドロームになりやすい人も同様のことが言える。食糧不足の時代にはエネルギーを節約して有利な体質だったかもしれないが、過栄養の時代には不利になる。
産業医研修会の後は、栃木県のグルメを楽しんでいる。4年前に来た時は、関東平野で栽培されるニラ、ねぎ、キャベツ、白菜などの野菜を使った餃子や、とちぎ黒毛和牛の焼肉、子牛の赤ワイン煮、和牛寿司を食べた。
午後7時、JR宇都宮駅構内の餃子店は4店とも20人づつ行列ができていた。駅前の宇都宮餃子西口1号店でニンニク餃子を食べた。ニンニクを丸ごと使い、大阪の餃子に比べ具が多い。
宇都宮で餃子が名産となったのは、満州にいた宇都宮の陸軍第14師団が日本に帰国した時、満州で作り方を学んだ人達が製法を持ち帰ったからだという。焼き餃子は中国の中でも、満州の餃子の特徴だ。
満州というと、丁度先月、大手広告代理店OBの方と話をした所だった。「小さな会社だったが、3代目社長が、終戦で満州から引き揚げてきたが仕事がなく、ぶらぶらしていた人達を入社させた。満州鉄道など満州の企業に勤めていた人達で、優秀な人が多く、会社は発展し、日本一の広告会社になった」と話された。
3代目社長がいなかったら、満州帰りの優秀な人達もいい仕事に巡り合えず、会社も大きくならなかっただろう。実力があっても、日の当らない場所にいる人に、やりがいのある仕事や重要なポストを与えると、能力以上のものを発揮するのかもしれない。どん底を経験したエリート達が甦った時、最強の軍団になったのではないかと思った。