日本の農耕文化とメタボリックシンドローム
2010年3月31日、考古学を研究していた親戚の甲元眞之熊本大学教授が定年退職し、業績集が送られてきた。
広島県三次市吉舎町安田で生まれ、日彰館高校、東京教育大学を卒業、東京大学で文学博士を取得し、熊本大学文学部で考古学の研究をつづけていた。著書には「東北アジアの初期農耕文化と社会(同成社2008年)」などがある。
1963年から2009年までの間に191回の発掘調査を行い、海外での発掘調査は韓国21回、中国9回、ロシア4回、ドイツとフィリピン各1回となっている。いつ、どこで、何をしたか記録してあり、記録魔だ。
熊本大学時代の33年間に、私財を投げ打って購入した書籍が3万冊近くになり、300冊を残し、他は熊本大学図書館、長崎県壱岐市教育委員会、韓国東亜大学博物館、韓国釜山大学考古学科に寄贈するという。
甲元家から養子に来た私の父は「本代はいくら使ってもいい。本は借りるものではなく、いつでも読み返せるように買っておけ」と言っていた。書籍収集は、甲元家の伝統なのか。幼い頃見た甲元家の家紋は、一の下に丸が三つあり、毛利家の家紋と同じ「一文字三星紋」だった。甲元家は毛利元就にゆかりがあったのか?定かではない。
3月18日、大阪市北区で保田茂神戸大学名誉教授による「日本の食料の未来」の講演会があった。日本の現在の農業従事者の平均年齢は70歳で、20年後には農業の働き手がいなくなるという。
FAO(国際連合食糧農業機構)による穀物自給率は、中国100%、インド98%、EU97%、USA132%、インドネシア89%、ブラジル91%、パキスタン112%、ロシア99%、バングラデシュ95%、日本28%、ナイジェリア84%となっており、人口1億人以上の国の中で、日本の穀物自給率は極端に低くなっている。
保田教授は「地球で養える人口は83億人と予想され、20年後に地球の人口は83億人になる。20年後、食糧争奪戦となり、その時、他国が日本に穀物を売ってくれるかどうか、わからない。
日本人は米を食べなくなり、食料自給率が39%に落ちた。食生活の欧米化で、肥満やメタボリックシンドローム、心筋梗塞が増加している。WHO国際共同センターの調査では、米食文化圏の心筋梗塞の10万人当たり死亡者数は、非米食文化圏に比べて男女とも5倍になっている。
日本人は日本食のご飯をもっと食べて、米の消費を増やし、休耕田を復活させて穀物を確保しなければならない」と話された。
米食文化圏と非米食文化圏は人種も異なり、食生活の違いだけで心筋梗塞の発症頻度に違いが出てくるわけではないが、20年後の世界の食糧危機に対し、お米を食べるなどの対策が必要だと思った。