岡山後楽園と新しい糖尿病診断基準
2010年5月27~29日、岡山市のホテルグランヴィア岡山など駅周辺に1万人が参加し、第53回日本糖尿病学会(川崎医科大学加来浩平会長)が開催された。
5月26日、岡山プラザホテル鶴鳴の間で評議員会が行われ、326名が出席した。午後4時からの開始予定が、理事会でHbA1c(ヘモグロビンA1c:過去1~2カ月の血糖コントロール状態の指標)についての話し合いが長引き、4時44分から始まった。
10年ぶりの糖尿病診断基準の改定では、従来の空腹時血糖値126mg/dl以上、経口糖負荷試験2時間値200mg/dl以上、随時血糖値200mg/dl以上に加え、HbA1cが取り入れられた。
これまでは、日をあらためて2回の検査が必要だったが、血糖値が高く、かつHbA1cが6.1%以上と高ければ、1回の採血で糖尿病と確定診断できる。HbA1c値のみでは糖尿病とは診断されない。新しい糖尿病診断基準は7月1日から施行される。
HbA1cの国際標準化については、世界で標準的に使われているNGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値に補正した表記になる。NGSP値の方が、日本で使われているJDS(Japan Diabetes Society)値に比べ0.4%高いため、NGSP値=JDS値+0.4%となる。
国際学会の発表や国際学会誌へ投稿する場合、NGSP値に補正した値を用いる。健診や一般臨床現場では準備期間が必要なため、1年後の日本糖尿病学会からできるだけ近い時期に一斉に変更することとなった。
午後7時20分から評議員会懇親会が、後楽園の鶴鳴館前庭で行われた。後楽園は300年前に岡山藩主池田綱政によって作られた庭園で、金沢の兼六園、水戸の偕楽園とあわせて日本三名園と呼ばれている。
ライトで照らされた中、岡山県知事、次いで岡山市長が挨拶された。池田藩主の居間「延養亭」からは、庭園と借景の山々だけで、建物は一切見えない。延養亭から見える建築物は、政令で禁止されているという。
「次はご家族といっしょに来て下さい」と市長は挨拶を締めくくられた。小学校時代、父母姉と後楽園、高松の栗林公園、徳島鳴門公園など公園めぐりをしたことを想い出した。子供の頃見た後楽園は、緑に囲まれた私の故郷の広島県山間部と同じでつまらなく、遊園地の方がいいと思った。都会に長く住んでいると、建物が見えない公園が市街地のど真ん中に存在していることに感激する。
乾杯は人間国宝が創られた備前焼のぐいのみで行なわれた。地鶏を使った料理など、美味しい料理を食べながら、松江や福岡の先生など久しぶりに再会する人達と、楽しいひと時を過ごすことができた。
岡山城は5月26日から4日間、糖尿病の予防・治療が成功するよう、シンボルカラーのブルーにライトアップされた。