岡山後楽園と新しい糖尿病診断基準

2010年5月31日

    201052729日、岡山市のホテルグランヴィア岡山など駅周辺に1万人が参加し、第53回日本糖尿病学会(川崎医科大学加来浩平会長)が開催された。 

526日、岡山プラザホテル鶴鳴の間で評議員会が行われ、326名が出席した。午後4時からの開始予定が、理事会でHbA1c(ヘモグロビンA1c:過去12カ月の血糖コントロール状態の指標)についての話し合いが長引き、444分から始まった。

10年ぶりの糖尿病診断基準の改定では、従来の空腹時血糖値126mg/dl以上、経口糖負荷試験2時間値200mg/dl以上、随時血糖値200mg/dl以上に加え、HbA1cが取り入れられた。

これまでは、日をあらためて2回の検査が必要だったが、血糖値が高く、かつHbA1c6.1%以上と高ければ、1回の採血で糖尿病と確定診断できる。HbA1c値のみでは糖尿病とは診断されない。新しい糖尿病診断基準は71日から施行される。

 

HbA1cの国際標準化については、世界で標準的に使われているNGSPNational Glycohemoglobin Standardization Program)値に補正した表記になる。NGSP値の方が、日本で使われているJDSJapan Diabetes Society)値に比べ0.4%高いため、NGSP値=JDS値+0.4%となる。

国際学会の発表や国際学会誌へ投稿する場合、NGSP値に補正した値を用いる。健診や一般臨床現場では準備期間が必要なため、1年後の日本糖尿病学会からできるだけ近い時期に一斉に変更することとなった。

 

午後720分から評議員会懇親会が、後楽園の鶴鳴館前庭で行われた。後楽園は300年前に岡山藩主池田綱政によって作られた庭園で、金沢の兼六園、水戸の偕楽園とあわせて日本三名園と呼ばれている。

ライトで照らされた中、岡山県知事、次いで岡山市長が挨拶された。池田藩主の居間「延養亭」からは、庭園と借景の山々だけで、建物は一切見えない。延養亭から見える建築物は、政令で禁止されているという。

「次はご家族といっしょに来て下さい」と市長は挨拶を締めくくられた。小学校時代、父母姉と後楽園、高松の栗林公園、徳島鳴門公園など公園めぐりをしたことを想い出した。子供の頃見た後楽園は、緑に囲まれた私の故郷の広島県山間部と同じでつまらなく、遊園地の方がいいと思った。都会に長く住んでいると、建物が見えない公園が市街地のど真ん中に存在していることに感激する。

乾杯は人間国宝が創られた備前焼のぐいのみで行なわれた。地鶏を使った料理など、美味しい料理を食べながら、松江や福岡の先生など久しぶりに再会する人達と、楽しいひと時を過ごすことができた。

岡山城は526日から4日間、糖尿病の予防・治療が成功するよう、シンボルカラーのブルーにライトアップされた。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

著作権について