胆石・胆のうポリープとメタボリックシンドローム
一般演題で、みどり健康管理センターの熊田桂子らによる「超音波検査における胆石・胆のうポリープとメタボリックシンドロームとの関係について」の発表があった。平成21年4月から22年3月までの間に、超音波検査を行った受診者13,082名(男性9,070名、女性4,012名)について検討している。
胆石保有者は693名(5.3%)で、男性5.5%、女性4.9%と男女差はなく、胆石保有率は加齢とともに増加していた。胆石者の腹囲、空腹時血糖,HbA1c,中性脂肪、血圧は男女とも高値、HDLコレステロールは低値となっていた。
胆石保有率は男性メタボリックシンドローム(MS)で7.2%とMS(-)の4.6%に比べ高く、女性MSも7.2%とMS(-)の4.1%に比べ高くなっていた。胆石はメタボリックシンドロームと関連しており、食事・運動によるMS対策は胆石予防につながるだろう。
胆のうポリープのある人は2128人(16.3%)で、男性19.1%の方が女性12.0%に比べ多く、各年代とも同じような頻度で、年代間で差を認めなかった。LDLコレステロールを除き、胆のうポリープの有無で腹囲、糖代謝、血圧に男女とも全く差を認めず、胆のうポリープはメタボリックシンドロームと関係していなかった。
会場となった千里ニュータウンは、なつかしい場所だ。38年前、阪大の学生だった頃、大阪大学医学部公衆衛生学の実習で「千里ニュータウンの医療」について、実態調査をした。千里ニュータウンは、千里丘陵の竹藪を切り開いてできた新しいベッドタウンで、佐竹台、古江台、藤代台など12の地区から成っていた。
戸別アンケート調査で安心して家に入れてもらうため、神戸女学院と奈良女子大の学生さんに協力してもらい、同級生12人がそれぞれペアになって、12地区の各家庭を回った。
私は津雲台を担当し、1日8時間、日曜と月曜の2日間で34軒訪問し、ニュータウンの医療についてアンケートに答えてもらった。昼食時、ラーメンを食べさせてくれる親切な家庭もあった。
各12の地区の中心部に、診療所ができたが自宅開業は少なく、夜間に子供が熱を出した時など、夜間の救急に不安を持たれていた。調査結果は新聞に「千里ニュータウンの無医村」として、大きく掲載された。
当時の千里は若い夫婦や、幼い子供をかかえるお母さんが多い若者の町だったが、40年の時が経ち、30歳だった人達は70歳となり、高齢者の町となっていた。人も町も、あっという間に老いて行く。