胆石・胆のうポリープとメタボリックシンドローム

2010年8月29日

    2010828日、大阪府豊中市新千里東町にある千里ライフサイエンスセンターで「第32回関西総合健診医学懇話会」が開催された。

 

一般演題で、みどり健康管理センターの熊田桂子らによる「超音波検査における胆石・胆のうポリープとメタボリックシンドロームとの関係について」の発表があった。平成214月から223月までの間に、超音波検査を行った受診者13,082名(男性9,070名、女性4,012名)について検討している。

胆石保有者は693名(5.3%)で、男性5.5%、女性4.9%と男女差はなく、胆石保有率は加齢とともに増加していた。胆石者の腹囲、空腹時血糖,HbA1c,中性脂肪、血圧は男女とも高値、HDLコレステロールは低値となっていた。

 

胆石保有率は男性メタボリックシンドローム(MS)で7.2%とMS()4.6%に比べ高く、女性MS7.2%とMS()4.1%に比べ高くなっていた。胆石はメタボリックシンドロームと関連しており、食事・運動によるMS対策は胆石予防につながるだろう。

胆のうポリープのある人は2128人(16.3%)で、男性19.1%の方が女性12.0%に比べ多く、各年代とも同じような頻度で、年代間で差を認めなかった。LDLコレステロールを除き、胆のうポリープの有無で腹囲、糖代謝、血圧に男女とも全く差を認めず、胆のうポリープはメタボリックシンドロームと関係していなかった。

 

会場となった千里ニュータウンは、なつかしい場所だ。38年前、阪大の学生だった頃、大阪大学医学部公衆衛生学の実習で「千里ニュータウンの医療」について、実態調査をした。千里ニュータウンは、千里丘陵の竹藪を切り開いてできた新しいベッドタウンで、佐竹台、古江台、藤代台など12の地区から成っていた。

戸別アンケート調査で安心して家に入れてもらうため、神戸女学院と奈良女子大の学生さんに協力してもらい、同級生12人がそれぞれペアになって、12地区の各家庭を回った。

私は津雲台を担当し、18時間、日曜と月曜の2日間で34軒訪問し、ニュータウンの医療についてアンケートに答えてもらった。昼食時、ラーメンを食べさせてくれる親切な家庭もあった。

12の地区の中心部に、診療所ができたが自宅開業は少なく、夜間に子供が熱を出した時など、夜間の救急に不安を持たれていた。調査結果は新聞に「千里ニュータウンの無医村」として、大きく掲載された。

 

当時の千里は若い夫婦や、幼い子供をかかえるお母さんが多い若者の町だったが、40年の時が経ち、30歳だった人達は70歳となり、高齢者の町となっていた。人も町も、あっという間に老いて行く。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

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